WEDGE REPORT

福岡を“ゲーム界のハリウッド”に 「妖怪ウォッチ」超える新作つくる
日野晃博さん(レベルファイブ代表取締役社長/CEO)

WEDGE編集部 伊藤 悟 (いとう・さとる)

WEDGE REPORT

ビジネスの現場で日々発生しているファクトを、時間軸の長い視点で深く掘り下げて、日本の本質に迫る「WEDGE REPORT」。「現象の羅列」や「安易なランキング」ではなく、個別現象の根底にある流れとは何か、問題の根本はどこにあるのかを読み解きます。

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 ファミコンに開眼したのは高校卒業後だが、日野は高校生のころ、将来の進路について「これからはコンピュータの時代かな」と思い、コンピュータの専門学校に進学することを決める。システムエンジニアになるつもりだった。

 しかし、前出の「ドラクエⅢ」が人生を変えた。「ゲームの世界こそ自分の進むべき道と路線変更を決断し、自分でプログラムを組んでゲームを制作。ゲーム会社に飛び込みで自分を売り込み、半ば強引に入社しました(笑)」。当時はゲームプログラマーの求人は皆無に近かった。

 98年には独立してレベルファイブを設立し、国内外で累計100万本以上のヒット作となる「ダーククラウド」を皮切りに、「レイトン教授」シリーズ、「イナズマイレブン」、「ダンボール戦機」などヒット作を続々と世に送り出した。自身の人生を変えた「ドラクエ」の開発も手掛けることとなった。

 「幼少期に自分が好きだったものを現代風にアレンジする、というのは僕の中のテーマのひとつです。現代に自分が好きだったものがあるといいな、という発想です。『妖怪ウォッチ』は『ドラえもん』、『イナズマイレブン』は『キャプテン翼』、『ダンボール戦機』は『プラレス3四郎』といった具合にです」

妖怪ウォッチ以上のヒットを狙う「新作」

 「今の小学生のリアルな悩みを真剣に考えたところがヒットの要因と考えています」

 ポイントは「真剣に考える」という点だ。

 「ゲームを創る大人が子どもだったころの悩みと、今の子どもたちの悩みはまったく異なります。子ども向けにつくることを大人がやると、誰もが子ども時代を経験しているから『子どもはこんな感じのものが好きなんだろう』と大人の趣向で子どもの好みを考えてしまう。これでは子どもに響かないことが多く、今の子どもに響くものを真剣に考えなければいけないのです。

 例えば、焼肉を食べたい、メロンを食べたい、というのは昭和の子どもたちにとってはステータスシンボルでしたが、今ではもっとデジタルな悩みになっていたり、大人以上に人間関係に悩んでいたりします。同じ『子ども』でもまるで違う生き物だと思ったほうがよいのです」

 日野の眼からみると、この点をしっかりと実践できているゲームは意外に少ないという。ゲーム業界が不振に陥っているのには、こんなところにも要因があるのかもしれない。

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