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2015年1月6日

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河合正弘 (かわい・まさひろ)

東京大学公共政策大学院特任教授

1971年東京大学経済学部卒業。78年スタンフォード大学経済学博士号取得。世界銀行東アジア局チーフエコノミスト、アジア開発銀行総裁特別顧問、アジア開発銀行研究所所長等を歴任。

 日本政府は、恒常的に総裁を出しているADBがアジアの途上国に大きく貢献しているという評価を得ていることから、その競争相手となるAIIBの設立構想に戸惑いを見せている。

日本が主体となって運営しているアジア開発銀行(ADB)は、困惑している(REUTERS / AFLO)

 AIIB設立の基本的な考え方は、設立準備委員会(多国間臨時事務局)の委員長(秘書長)である金立群氏が、北京の中央財経大学・金融学院で開催されたクローズド・ワークショップ「世界の金融ガバナンス」での発言や応答の中で示している。

 要約すると、「既存の国際金融機関では、それらを主導する欧米諸国の意向が強く反映されて、必要な改革ができないので、新たな国際機関を設立することが必要だ」というものだ。

 急成長するアジアでは、経済成長・発展を支えるために、毎年少なくとも7500億ドル(ほぼ90兆円)に上る巨額のインフラ投資が必要とされている。日本、中国を含むアジア地域は全体として経常収支黒字を計上していることにみられるように、十分な貯蓄を持っており、それをアジアのインフラ投資に振り向けていくことができる。

 現在の世界経済には、日米欧の中央銀行による超金融緩和政策によって、短期流動資金は十分に供給されているが、それは必ずしも長期性のインフラ投資に結びついていない。そうした中で、中国は法定資本金1000億ドル(当初は500億ドル程度の資本金から出発)のAIIBを設立する動きを始めたわけである。

 本部は北京とし、15年中の業務開始をめざしている。AIIBはアジアのインフラ建設に必要な長期資金を供給する一方、貧困削減は世銀やADBの仕事だとしている。

 しかしAIIBが効果的に機能するためには、日本や米国だけでなく、参加を検討している韓国や豪州などが懸念しているいくつかの問題点を解決する必要がある。

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