クリーン・エネルギー分野における米中の競争


世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察するコラム。

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11月の米中首脳会談における米中間での温室効果ガス削減についての合意は画期的であり、クリーン・エネルギー関連技術への投資が加速されることになるであろう、とEnvironmental Defense Fund代表のフレッド・クラップが、11月12日ウォールストリート・ジャーナルで述べています。

 すなわち、今や、米中は温室効果ガス削減の新しい目標を設定したので、「中国が行動しないから米国も行動することができないという」理屈が、ついに成り立たなくなった。

 中国は既に、クリーン・エネルギーを推進するために多くの取り組みをしているが、今回の合意で大幅に前進した。中国は、非化石燃料による発電をエネルギーミックスの少なくとも5分の1に引き上げ、2030年までに温室効果ガスの排出を頭打ちにさせることを約束した。米国は、排出量を2020年までに2005年比で17%削減するとの現在の目標から上積みし、2025年までに同26~28%削減すると約束した。これらのコミットメントを満たすには、両国は思い切った削減をする必要があろう。

 数値は十分ではないが、今般の合意は、世界の気候への取り組みの思考を変革し得るので、大きな転機である。各国は、他国を互いに不作為の言い訳にするのではなく、互いによりよい行動に挑戦するようになろう。これは、次の二つの理由による。

 第一に、世界で第1、第2の排出国が削減への共同のコミットメントを表明したことは、グローバルな気候変動における取り組みにおける協力を大いに再活性化させる。

 第二に、この発表は、クリーン・エネルギー市場への巨大な推進力となる。世界第1、第2の経済大国が、非炭素・低炭素技術の採用の加速において競争をすることは、市場への最大のメッセージとなる。

 再生可能エネルギーの分野で中国と競争しなければならないという米国の懸念は、良い方向に転じるかもしれない。これまでは、化石燃料が富とパワーへの確実な道であったが、今や、非炭素あるいは低炭素技術を生産、販売する企業が優位に立つことになろう。米国は、これら全ての分野で、中国に対して競争力があることを示さなければならない。

 米国の技術革新、適応能力については楽観視できる。市場のリーダーたちは、再生可能エネルギーとエネルギー効率向上に莫大な投資をしている。米中合意はこうした傾向を加速させ、今回設定した目標を達成しやすくするであろう。

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