世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年12月26日

 米国のシンクタンクCNAS(Center for a New American Security)のラトナーとブルッキングス研究所のライトが、米国外交はイスラム国の台頭などで中東に過大な焦点を当てているが、この4半世紀において、米国にとっての最大の課題は、既存の国際秩序の修正を目指す中露両国への対応である、と11月21日付のワシントン・ポスト紙に掲載された論説で述べています。

 すなわち、スンニ・シーア間の対立、イスラム国の台頭などによる中東世界の崩壊は、今後10年以上に亘り、米国を多忙にする国家安全保障上の課題である。

 イスラエルの安全、核不拡散、安定したエネルギー供給、テロ対策などで、米国が中東に重要な関心を持っているのは事実である。しかし、この4半世紀において米国が直面する最大の挑戦は、中露両国が、修正主義国家として行動し、領土の境界を含む既存の国際秩序を覆すことである。このような挑戦をそのまま放置すれば、世界は再び勢力圏に分断され、大国間の紛争のリスクが恒常化する。

 グローバルな金融危機により米国の指導力に疑問符が付いて以来、中露両国は、奢りと歴史的怨念により新たな領土を獲得して地域の地図を書き換え、圧力と実力の行使により近隣諸国を脅している。

 欧州では、ロシアがクリミアを併合し、東ウクライナに侵入した。

 アジアでは、中国が、南シナ海に於ける拡張的な海洋権益の推進を図り、また、日韓の間に楔を打ち込み米国の同盟関係を損ないつつ、一方、米国の同盟国であるタイなどに寄ってきている。

 良いニュースとしては、ロシアと違って、中国が修正主義の道に既にコミットしているとまでは言えないことである。オバマ大統領の11月の北京訪問は、中国との関係をより安定した軌道に乗せることが可能であることを示した。

 ロシアと中国は別個の挑戦であるが、双方に対し、米国が平和的競争に焦点を当てた政策を執るべきことに変わりはない。オバマの中国戦略は正しかった。気候変動や貿易面などの協力分野を拡大する一方で、危機を防ぎ管理する為の軍事的・外交的手段を追及する政策である。

 しかし、同じく重要なことは、修正主義的行動を抑止・懲罰するための新たな軍事的・経済的アプローチである。ロシアに対しては制裁を選択したが、プーチンの野心を変えることには成功していない。米国は、もっと洗練された経済措置を設計すると共に、軍事的抑止についても見直すべきである。南シナ海や東シナ海での低レベルの挑発に合わせた対応の整備、ウクライナやベトナムなどの非同盟国に対する支援の提供、バルト諸国へのNATO軍展開、太平洋への軍の配備増強による同盟関係の強化などが考えられる。

 以上のような軍事面に加え、米国は、TPPの締結や欧州との同様の協定締結を、米国の経済的指導力を取り戻す為の最優先課題とすべきである。

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