世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年12月26日

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 最後に、修正主義の脅威に対抗するためには、繁栄する経済、強力な軍隊、世界の尊敬を得られる政府と社会の存在に支えられた一定の国力が必要である。

 米国が中東の砂の中に、ダチョウのように頭を埋めているままでは、アジアや欧州における米国の死活的利益を護ることはできない、と述べています。

出典:Ely Ratner & Thomas Wright ‘How the United States can counter the ambitions of Russia and China’(Washington Post, November 21, 2014)
http://www.washingtonpost.com/opinions/how-america-can-counter-the-rise-of-russia-and-china/2014/11/21/f9bfabd0-5949-11e4-8264-deed989ae9a2_story.html

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 ラトナーとライトが主張するように、米国は何時までも中東への関与に没頭していてはならず、より重大な脅威である中露の修正主義に対抗することに重点を置くべきであるとするのは、一つの考え方ではあります。しかし、米国が中東の混乱を放置することが国際社会の利益になるとまでは言えません。

 11月24日に、ヘーゲル米国防長官の辞任が発表され、また、イランとの核協議の交渉期限の再延長を余儀なくされましたが、このような状況で、米国が中東に関心をもたないことは不可能でしょう。

 なお、筆者達は、中国は修正主義にコミットしている訳ではなく、オバマ大統領の北京訪問は成功であったとし、米中関係の将来につき、楽観的に見ているようですが、その根拠は明らかではありません。中国が当面の経済不調もあり、不必要な対決姿勢を弱めることはあっても、軍事力の増強や南シナ海での支配権強化は一貫して推進されています。

 プーチン大統領は、西側とそれなりに協調している面もあります。しかし、ウクライナ問題については、西側諸国に武力介入や大規模な対ロ制裁の用意が無い以上、当面、解決の見通しは立たないでしょう。停戦は守られておらず、事態は流動的ですが、ウクライナ政府とロシア政府がOSCEの仲介の下で対話を再開することが何れ必要となるでしょう。もし、プーチンが衰退する国家のリーダーとしての意識を持っているとすれば、西側からウクライナ問題で強い圧力を受けた場合、更に強硬な行動に出る可能性も否定できません。

  
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