世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年1月21日

 2014年12月8日付の英フィナンシャル・タイムズ紙で、Jamil Anderlini同紙北京支局長が、汚職などの罪により失脚した周永康前常務委員が、正式に党籍剥奪と刑事責任追及を言い渡された件について、習体制の長期的な反汚職キャンペーンは、真剣な政治改革というよりは、政敵を排除するための伝統的な権力闘争にすぎない、と論じています。

 すなわち、中国国営メディアは、周永康の失脚を習近平の声高な反汚職キャンペーンの成果だと称賛している。

 周永康は、腐敗に問われた人物としては、中国建国以来最高位の人物である。裁判所や秘密警察を含む国内治安機関の長として恐れられた同氏は、現在機密漏洩や収賄、女性問題などを問われ、党籍を剥奪された上、かつて自分が牛耳っていた裁判所で刑事訴追されることになっている。

 反汚職キャンペーンによって逮捕もしくは処罰された共産党員は、25万人以上に及んでおり、そのうち50人あまりが閣僚クラスの人物である。

 ここで問われるのは、一連の反汚職キャンペーンが、中国を一党独裁国家におけるクリーンな統治モデルとするためのものなのか、それとも単に政治権力闘争の手段として使われているだけなのかということだが、最近では俄然後者の疑いが強まっている。

 政敵を粛正し、自らに忠実な部下たちと交代させる手段として反汚職キャンペーンを利用するのは、中国では常套手段であり、胡錦濤も江沢民も鄧小平も皆同じことをしてきた。

 だが、今回の粛正劇は、これまでのものに比べて極めて長期化している。一部の中国の人々は、これは政敵を排除するための政治戦術というよりも、構造的な変化だと見ている。 

 習近平の権力掌握以前と比べ、党員らは露骨な職権濫用を控えるようになった。その顕著な例として贅沢品の売り上げが減少している。例えば、パーティーやちょっとした賄賂としてよく使われるマオタイの価格は60%も減少している。

 だが、反汚職キャンペーンの成果は出ていない。Transparency Internationalの汚職認識指数によれば、中国の今年の順位は175カ国中100位で、2013年の80位からダウンしてしまった。

 結果が劇的に悪化している原因は、国営メディアが粛正をことさら大きく報じ続けていることにあるのかもしれないが、現在の反汚職キャンペーンが如何せん不透明かつ恣意的に行われており、その狙いが習近平個人の権力強化にあるという疑いが消えないことも影響しているだろう。

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