働く地方議員をきちんと選ぶために

『トンデモ地方議員の問題』


中村宏之 (なかむら・ひろゆき)  読売新聞東京本社調査研究本部 主任研究員

1967年生まれ。91年、慶應義塾大学経済学部卒、読売新聞東京本社入社。福島支局、立川支局、経済部、政治部、ロンドン特派員、米ハーバード大学国際問題研究所研究員、経済部デスクを経て2014年より現職。著書に『世界を切り拓くビジネス・ローヤー』『御社の寿命』、(いずれも中央公論新社)など

オトナの教養 週末の一冊

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年末に一年を回顧するテレビ番組で繰り返し流れた元兵庫県議の号泣映像で、この男性の政務活動費問題が2014年に明らかになった問題だったと再認識した方も多かっただろう。映像のインパクトがあまりに強すぎて、いつのニュースだったか筆者(中村)も失念していたが、当の元県議は、年明けになって詐欺容疑で1月19日に送検された。この事件は地方議会の質の低下ともいうべき実態を改めて世の中に明らかにするきっかけとなった。

時代遅れでずさんな地方議会の実態

『トンデモ地方議員の問題』
(相川俊英、ディスカヴァー・トゥエンティワン)

 とはいえ、地方議会のこうした状況は、いまに始まったことではない。ずっと以前から言われていたことであり、筆者が地方支局勤務をしていた駆け出しの頃から多くの地域で見られた。地方議会を取材しても、どうみても役所の職員がおぜん立てして、代筆したような台本をそのまま読んでいるとしか思えないやりとりなど、著者が本書で紹介している「学芸会」ともいうべき状況を目にしたことはたびたびあった。

 さらに本書で紹介されている政務活動費や交通費などの取り扱いの実態を知るにつけ、いかに時代遅れかということもわかる。今の時代、仕事にかかる様々な経費について、領収書の添付なくしてお金が支払われることなど、まともな民間企業ではありえない。交通費などについても、都度の実費精算が常識である。しかし地方議会の多くは、そうしたことがないがしろにされたまま多額の公金が取り扱われており、いかに世の中との感覚がずれているかがわかる。

 本書には、著者の長年にわたる取材で蓄積した地方議会の実態が詰まっており、全国にいかに多くのずさんなケースがあるのかを教えてくれ、あぜんとする。「地方自治は民主主義の学校」と昔、学校で習った記憶があるが、もはや「学ぶに値しない」ような存在となっているのは嘆かわしいことだ。

 政務活動費の不正な取り扱いを始め、セクハラ・ヤジ、危険ドラッグ使用、市長選買収事件など、著者が列挙するように、昨年次々と明らかになったような「トンデモ議員」の存在は、全国に広がっている。しかし考えてみれば、こうした議員を選んでいるのはその地域の有権者であり、厳しいようだが、責任の一端は有権者の側にあるともいえる。

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「オトナの教養 週末の一冊」

著者

中村宏之(なかむら・ひろゆき)

読売新聞東京本社調査研究本部 主任研究員

1967年生まれ。91年、慶應義塾大学経済学部卒、読売新聞東京本社入社。福島支局、立川支局、経済部、政治部、ロンドン特派員、米ハーバード大学国際問題研究所研究員、経済部デスクを経て2014年より現職。著書に『世界を切り拓くビジネス・ローヤー』『御社の寿命』、(いずれも中央公論新社)など

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