WEDGE REPORT

2009年7月27日

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 「地銀に多いのだが、地元でメガ型行動を取り、倒産が続いてもかすり傷ひとつ負わない金融機関が、果たして地域金融機関と呼べるのか。地域密着を標榜しながら資金仲介に執着し、事業支援は行わない金融機関は少なくない。こういうところに限って、信用保証制度の責任共有制度ができた途端に保証付き融資に抑制的になり、今回の緊急保証制度ができた途端に積極対応に転換しており、情けない」(前出の多胡氏)。

 金融機関が融資先の事業支援や、自らリスクを取った融資に積極的になれないのはなぜでしょうか。ある信用金庫関係者はこう述懐します。

 「1980年代まではとにかく『預金獲得』だった。融資は不動産担保さえ取れば、右肩上がりだから細かく吟味しなくてよい。積極的に融資しなくても、余った資金をコール市場に出せばオーバーローンに陥っている大手行が調達してくれた。金利も規制金利で競争しなくていいし、とにかく預金さえ集めていれば儲かった。バブル期になると不動産融資に傾斜し、崩壊すれば不良債権処理に追われ、融資に厳格になった。

 下がる預貸率をまかなおうと、住宅ローンを売ったが、競争が激しく、サブプライムローン関連など外国債券に走るところも現れた。結局どれもうまくいかず、やはり本業の融資強化だ、そのためには事業支援だとなるが、それができる人材は育っていない」。

問われる地域金融機関の存在意義

 「いまこそ商業銀行のあり方が本質的に問われている時代はない」。こう指摘するのは、倉都康行・RPテック代表取締役です。

 「メガバンクは、この20年間、欧米の投資銀行モデルを目標にしてきた。それが崩壊して困り果てている。高度成長期は財閥と大企業のためにやってきたが、資金調達の多様化で役割が減り、投資銀行を目指したがバブル崩壊でつまずき、消費者金融に手を出して失敗した。いま再び投資銀行を買収しているがどうなるか」。

 「目標を失ったメガバンクより、地域に根ざした中小の金融機関の方がよほど存在意義がある」と倉都氏は指摘します。そのためには先述した人材不足などの課題を乗り越え、「地域に根ざす」という原点に回帰できるかどうかが鍵になる。地域金融機関がいかに地元産業を理解し、その資金を通じて共同体と共生できるかが問われています。

とある信用組合で起きた事件

 いまの金融システムの問題点を端的に表すような事件が、東北のある小さな信用組合で起きました。

 2008年6月の宮城県内陸地震の直撃を受けた栗原市を拠点とする仙北信用組合では、今年7月1日夜、緊急理事会が開かれていました。前日の理事会で結論がでず、連日開催となるほど紛糾したテーマは「経営責任」。最終的に若林洋一理事長は、自ら辞任することを決断しました。

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