世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年1月26日

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 アシュトン・カーターの国防長官指名は、各方面で概ね好感をもって迎えられていますが、この論説は、特にDTTIをめぐる経緯などから、カーターの米印関係の専門家としての側面に焦点を当てています。1月末には、オバマが共和国記念日の主賓として招かれ訪印します。カーターの指名承認はそれに近い時期となるはずですから、米印防衛関係の進展にとって、タイミングが良いと言ってよいでしょう。オバマ訪印では、米印防衛関係の強化が謳われることになるでしょうが、カーターが国防長官としてそれに肉付けしていくことが期待されます。米印関係の強化は、安倍総理のセキュリティ・ダイヤモンド構想と一致することなので、そうなれば、日本としても大いに歓迎できます。

 ただし、インドが多角的外交を追求していることは念頭に置く必要があります。

 インドは冷戦以来ロシアと親しい関係にあります。12月にプーチン大統領がインドを訪問した際、ロシアがインドに原発12基を建設することで合意し、プーチンは軍事用ヘリコプターのインドでの生産を提案しました。ロシアはインドの最大の兵器調達先であり、インドの兵器輸入額の75%はロシアからとなっています。プーチンのインド訪問中、モディ首相は、「ロシアはインドのベストフレンドである」と述べています。

 もっとも、密接な露印関係と米印関係の強化は、相反するものではありません。インドは中国との関係で、中国を敵視してはいませんが、中印国境問題、中国のパキスタン支援、中国のインド洋進出などで、中国を強く意識し、対処しようとしています。インドがロシアと米国との関係強化のなかで、中国を念頭に置いていることは間違いないでしょう。日本としては、こうしたインドの多角的外交を意識しながら、モディ首相訪日の際、安倍首相との間で採択された「日インド特別戦略的グローバル・パートナーシップのための東京宣言」に基づき、インドとの間で、防衛装備・技術協力や海洋安全保障など、安全保障分野の協力を強化していくことが望まれます。

  
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