2024年4月19日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年1月28日

 中国側が当面米国との協力を進めようとしている理由として、イグネイシャスは、海洋権益に関する中国の強硬姿勢が裏目に出ていること、現在米国経済に勢いがあるのに、中国経済にはないこと、を挙げています。そうしたことは確かにあるでしょうが、いずれにしても、このような中国の姿勢は戦術的なもので、状況が変われば変わるものであり、米国の地位に挑戦するという中国の戦略は変わっていないと見るべきです。

 しかしながら、戦術的なものとはいえ、中国が米国との対決を避け、協力を進めようとしていることは、米国、わが国、世界にとって、悪いことではありません。現に、例えば、今年1月12日には、「海上連絡メカニズム」構築に関する、日中の防衛当局者間の事務レベル協議が、約2年半ぶりに開催されています。こうした偶発的衝突回避の努力は続けていく必要があります。

 他方、中国がこのような姿勢を示している一つの理由が、論説が言うように、海洋権益に関する中国の強硬姿勢が関係諸国の強い反発を招いたことであるならば、日本をはじめ関係国は、今後とも領海、領土紛争につき、毅然として態度を取り、米国との連携を強めるべきです。そして、そうすることにより、中国が強硬姿勢を取ることが戦術的に中国の利に合わないことを知らしめて行かなければなりません。

  
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