世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年2月3日

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 現段階では、地上戦闘部隊の派遣は、米側ではオバマ政権の基本姿勢、イラク側でもイランとの関係等により、必ずしも積極的ではないこともあり、軍事的には望ましいとしても、政治的なハードルが高く、実現は難しいと思われます。

 本論説が指摘する通り、ISが占拠するスンニ派地域部族のシーア中心のイラク治安部隊に対する信頼感は低く、また現在活発に対IS戦闘に参加しているシーア派民兵との摩擦も起きていることから、スンニ派部族自身によるISへの戦いを支援するアプローチが最も効果的なことは間違いありません。問題は、如何にこれを実現するかです。

 この考え方は、イラク戦争時、当時の多国籍軍司令官ペトレイアス将軍が反乱鎮圧の切り札として米軍増派とともに断行した作戦でした。実際、ISの前身である「イラクのアルカイダ」の掃討に成功しました。ただ、成功のカギは、増派された米軍部隊が、主要な街や村に常駐し、スンニ派住民を保護し、部族の戦闘部隊と共に戦ったことにあります。

 本論説は、地上部隊の派遣は必要でも、望ましくはないとしていますが、最終的にイラクのスンニ派地域をISの支配から解放するためには、何れかの段階で、地上軍の派遣が必要とされる時が必ず来るのではないかと思われます。

 米国にとっても、イラクにとっても、非常に困難な決断が求められることになるでしょう。

  
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