「イスラム国」とは何者か


Wedge編集部

WEDGE REPORT

ビジネスの現場で日々発生しているファクトを、時間軸の長い視点で深く掘り下げて、日本の本質に迫る「WEDGE REPORT」。「現象の羅列」や「安易なランキング」ではなく、個別現象の根底にある流れとは何か、問題の根本はどこにあるのかを読み解きます。

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1月27日の深夜、「イスラム国」によって人質に取られている日本人ジャーナリスト・後藤健二さんと思われる新たな画像と音声がアップされた。その音声の中で、後藤さん解放の条件として、ヨルダンに囚われているサジダ・リシャウィ死刑囚の24時間以内の解放が要求されたことで、緊迫の度合いは一挙に高まっている。「イスラム国」側の狙いや、ヨルダン政府まで巻き込んだ交渉の難しさなどがしきりに報じられる一方で、「イスラム国」とはそもそも一体何なのか、いまだによく分からない方も多いのではないだろうか。

 先日、『イスラーム国の衝撃』(文春新書)を上梓された池内恵氏など、中東の専門家による解説を集めた小社の電子書籍『「イスラム国」の正体』では、「イスラム国」誕生の背景から、人材や資金が集結する理由、彼らが目指すものまでを簡潔にまとめている。また、これを読まれた著名ブロガー・永江一石氏が、「読書感想文」と題した文章をBLOGOSに寄稿されているので、こちらもご参照されたい(http://blogos.com/article/104344/)。

 アメリカをはじめとする各国はこれまでイスラム過激派諸派への空爆を行ってきたが、そこに至るまでに「イスラム国」を放任し、成長させてしまったことを中東調査会上席研究員・髙岡豊氏は批判している(「世界80カ国から集まる戦闘員 『イスラム国』は空爆国が育てた」)。「イスラム国」対策の長期化は必至だが、「ヒト・モノ・カネ」の流れを理解し、それをどのように断ち切るか、対症療法的ではない対策が求められるという。

 また、一方で「イスラム国」の急激な勢力拡大と知名度の浸透が印象的であるにもかかわらず、その中核的な活動範囲は今のところシリア・イラクに止まっている、という見方もある(「『イスラム国』はどこまで浸透しているか」/岡崎研究所)。ISの元々の前身である「イラクのアルカイダ」は土着性が強く、ネットワーク的な広がりによって勢力を拡大するような集団でないからこその、対応の難しさもあるだろう。

 「イスラム国」から突きつけられたテロリスト釈放の要求は、ヨルダン・日本両国政府にとって極めて厳しいものであるが、後藤健二さんがなんとか無事に解放されることを切に願う。

  
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