世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年2月16日

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 ケリー米国務長官が、Project Syndicateのウェブサイトに、1月14日付で「平和のための同盟」と題する小論を寄稿し、米国民の一部に見られる内向き志向を戒め、世界への関与を継続すべきことを説いています。

 すなわち、第2次世界大戦後、世界の指導者たちは新たな同盟を作り上げ、西欧や日本に繁栄と安定をもたらした。かつての敵は同盟国となり、共にグローバルな経済システムを作り上げた。そして冷戦の最中にも軍備管理を行い、核戦争を避けることができた。さらに、冷戦を終結させたのみならず、何百万もの人々の生活水準を上げることができた。これは、20世紀の素晴らしいストーリーである。

 問題は、21世紀にはどのようなストーリーを語れるかということである。現在の世界秩序は、ロシアの拡張主義、宗教を騙る過激主義者達の問題を抱えるだけでない。技術の進歩によって、統治する側とされる側の力関係が急速に変わってきている。そして、世界の諸国間の関係は上下関係から横のつながりに変わってきた。戦後世界の国際組織、同盟関係は、点検と改革を必要としている。

 こうした中で、米国では内向きの政策を主張する者がいる。そのような主張は、過去にも何度か現れたが、いずれも間違っていたし、今回も間違っている。世界は米国の指導力をこれまでになく必要としており、米国はこれまでになく世界に関与している。アフガニスタンでの国家建設、シリアの化学兵器根絶、オバマ大統領と習近平国家主席が最近明らかにした環境保護面での合意などは、その実例である。

 21世紀には、国家同士の領土争いは主要な紛争要因ではなくなり、もはや世界は東西の二つの陣営に截然と分かれてはおらず、提携相手はどこにでもいる。つまり、世界は「提携外交」を必要としている。どの国も、テロや気候変動、貧困撲滅、疫病、核不拡散の問題を一国だけで解決することはできない。政府間の、そして市民社会、大衆との提携が必要である。

 米国、その他諸国の戦後の繁栄を築き上げた基礎である、自由貿易等の経済上の諸原則を強化する上でも、協力は不可欠である。特に、TPPの合意、EUとのTTIP(環大西洋貿易投資パートナーシップ)は重要である。

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