WEDGE REPORT

2015年2月19日

»著者プロフィール

国内の市場環境が縮小していく中、中小企業の半数以上が海外展開に「関心がない」と答える現実が未だにある。

*前篇はこちら

 なぜ中小企業が今、海外への販路拡大を迫られているのか。2013年にシンガポールに拠点を持った水処理設備の商社ニイミの新実葉耶専務(35)は海外に販路を拡大しようとした動機を教えてくれた。

 「現状は国内の市場が大半を占めている。そのため、国内に拠点を増やして商圏を広げたほうが短期的には効率の良い経営ができる。しかし、今の時点から海外への布石を打っておくことで、社員にも前向きな姿勢が生まれると考えた」

 中小企業も海外に市場を求める必要性が高まるという指摘が増える中、実際には海外展開(輸出、直接投資)を考えている中小企業の割合はそれほど高くはないことが、東京商工会議所のアンケートを見るとわかる(右図参照)。

 「言語や現地の法制度、商習慣も含めると海外には異文化特有のリスクがある。そのリスクを取ってまで海外に手を広げようとすることに抵抗感があるのではないか」(商工中金瀬戸山英児国際部長)。

 実際に海外展開している企業も3割程度で、6割以上の中小企業が海外展開をしていない。

 円安が加速するなかで、パナソニックなど大手製造業の一部に国内回帰の動きがあると報道されるなど「内向き志向」に拍車がかかることも予想される。しかし、長期的に見れば国内に比べて海外市場のほうが伸びるということに変わりはない。

課題は『市場の確保』と『人材不足』

 中小企業にとっての課題は第一に『市場の確保』である。日本貿易振興機構(ジェトロ)の伊藤亮一進出企業支援課長は中小企業を巡る環境が変化したと指摘する。

 「これまでは、大企業の下請けとして一緒に海外に進出するケースが主流だった。ところが最近は、下請けも仕事がなくなった。そのため、中小企業が単独で海外に販路を広げなければならなくなっている」

 そうした中で、「『何をどうやって始めればいいのか分からない』という中小企業も少なくないが、多いのは『市場の確保』についての相談」(中小企業基盤整備機構中島康明参事)だという。

関連記事

  • PR
  • 新着記事

    »もっと見る