2024年4月20日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年2月18日

 朱は、2016年の総統選に出馬しないと明言している。それにより、国民党の改革と新北市の施政に専念できるが、1年間のみの主席に終わるかもしれない。国民党は2013年に、現職の総統は自動的に党主席を兼任するよう、党則を改めた。もし国民党の他の候補が2016年の総統選で勝利すれば、その人物が、朱に取って代わることになろう、と述べています。

出典:Shannon Tiezzi,‘After Heavy Losses, a Reset for Taiwan's Ruling Party’(Diplomat, January 16, 2015)
http://thediplomat.com/2015/01/after-heavy-losses-a-reset-for-taiwans-ruling-party/

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 昨年11月末に行われた台湾の統一地方選挙の結果を踏まえ、新しく選出された国民党主席・朱立倫の課題について論じた論説です。

 昨年11月末の統一地方選挙の結果明らかになった点は、(1)国民党が予想以上に大敗したこと、(2)最大野党民進党は躍進したが、だからと言って、1年後の総統選挙において、民進党が圧倒的に有利になった、というのは早過ぎること、(3)台北市長選挙に見られたように、無所属・中間派の勢力が伸びたこと、などです。

 朱立倫は、統一地方選挙までは、国民党の「プリンス」と見做され、一般に馬英九総統のあとを継ぐ総統候補とされてきました。しかし、新北市の市長選挙において、民進党候補にかろうじて僅差で勝ったに過ぎなかったことから、そのイメージに傷がついた結果、国民党主席選挙には出るが、1年後に来る総統選挙には出馬しないとの意思表明を行わざるを得ませんでした。

 朱は、次の総統選挙には出ないと言っていますが、今日の国民党の低迷ぶり、あと1年しかない総統選挙のタイミングなどから見て、多分そのとおりになるでしょう。今日の国民党が抱える問題の困難かつ複雑な点は、ティエッツイの指摘する通りです。

 他方、民進党も「92年コンセンサス」をどう扱うかという困難な課題に直面しています。

 これまでの6年半の間、中国と台湾(国民党)の関係は「92年コンセンサス」と呼ばれる同床異夢の「コンセンサス」に基づき進められてきました。台湾側では、この「コンセンサス」とは「一つの中国・各自解釈」というものです。台湾側の解釈では「一つの中国」とは「中華民国」を意味します。これに対し、中国の立場は、この「92年コンセンサス」とは「一つの中国」であり、「各自解釈」の部分を含んでいません。つまり、中国の立場はあくまでも台湾は中国の一部ということになります。


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