対談

2015年2月18日

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増田:さらに「地方」は東京以外の話ではなく、たとえば豊島区など、東京23区にも消滅可能性があることを指摘しています。この本での「地方」とはすべての自治体のことなんです。

飯田:基礎自治体の維持可能性を検証している、と。

増田:そうです。ですからいわゆる「田園が消滅する」「里山が放棄される」といった議論ではありません。

飯田泰之氏

飯田:「限界集落をどう維持するか」という議論でもないということですね。

増田:それはまた別の社会政策的アプローチが必要になるのだと思います。

飯田:この本への批判にも、議論が混在している印象がありましたが、いまのお話で論点がクリアになったように思います。

 増田さんは1995年から2007年までの3期12年間にわたって、岩手県の知事としてご活躍されてきました。私も縁があって岩手県にはよく行くのですが、県全体で見ると都市機能の多くは盛岡市に集約されていて、三陸沿岸部は漁港とそれに付随する施設や産業などで街が構成されている印象です。逆にいえば大きな漁港のない地域は厳しい状況にあるように思います。

 これは全国共通の問題で、4月に施行される改正地方自治法では人口20万人以上が「中核市」となりますが、実際はほとんどの場合は「まず県庁所在地をどうするか」ということになるだろうと思います。それらが活性化して地方経済の牽引力になるために、必要な産業とは何でしょうか?

増田:人口減少が続く岩手県内でもトヨタ関連やセブン-イレブン・ジャパンなどの大型の企業誘致を続けている北上市の場合、2014年11月時点での有効求人倍率は1.87倍で、地元だけでは労働力が不足している状況です

 海外との競争力のある製造業のある都市とその周辺地域では、まだ可能性があります。ただ、製造業誘致はどこでやってもうまくいくわけではありません。

 やはり柱は広義のサービス産業になっていくでしょう。百貨店や商店などの物販はある程度までeコマースに代替されてしまうでしょうが、交通事業者や医療介護など、人的資本が必要とされる業種そのものは高齢化で今後しばらくは需要が増していくはずです。こういった業界が、若者にもっと給料を払えるようにならないと厳しい。

※参照記事:「岩手日報」2015年1月5日付
労働力不足に外国人採用の動き 北上、数百人規模か
http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20150105_1

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