対談

2015年2月18日

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増田:高度経済成長は人口移動で見ると、東京に集めるだけの一方通行で、集まった人間が適度に散らばることはありませんでした。もちろん、それを今度は東京の都合だけで高齢者を地方に分散させるというわけにもいきませんが、何らかの方法で人口は対流させないと、若者にとっても住みにくい国になってしまいます。高齢者だけではなく待機児童問題の深刻化もご存知の通りです。

 暮らしやすさという意味の利便性は、東京よりも地方都市にあります。とはいえ二地域居住は富裕層にしかできませんし、東京の郊外から都心部に通うのでは通勤時間ばかり長くなります。若年層では往復3時間を超えるような人も増えていて、生活しやすい状況とはとてもいえません。

 集積のメリットは享受しつつ、生活の利便性を保つには、東京に集めざるをえない機能とそうではないものを切り分ける必要があります。たとえば小松製作所は教育研修部門を、創業の地である石川県小松市にすべて移転させました。主要工場である粟津工場もあり研修効果も高く、宿泊施設は作らずにすべて市内の旅館などを利用するので、宿泊や飲食といった経済効果も地元に還元できます。工場の跡地に大きな体験型広報施設(こまつの杜 http://www.komatsunomori.jp/)を作るといった取り組みもされています。

 高い地価を払ってでも東京での集積が必要な部門と、そうではない部門はどの大企業にもあるはずです。ICTも大いに活用できるでしょう。高い地価や生活環境の悪さに見合う対価を得ているか、考えるべきでしょう。

*後篇へ続く

増田寛也(ますだ・ひろや)
1951年東京都生まれ。77年に東京大学法学部卒業し、建設省入省。95年から2007年まで岩手県知事、07年から08年まで総務大臣を務める。2009年より、野村総合研究所顧問、東京大学公共政策大学院客員教授。2011年より日本創成会議座長。

飯田泰之(いいだ・やすゆき)
1975年東京都生まれ。エコノミスト、明治大学准教授、シノドスマネージング・ディレクター、財務省財務総合政策研究所上席客員研究員。東京大学経済学部卒業、同大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。著書に『経済は損得で理解しろ!』(エンターブレイン)、『ゼミナール 経済政策入門』(共著、日本経済新聞社)、『歴史が教えるマネーの理論』(ダイヤモンド社)、『ダメな議論』(ちくま新書)、『ゼロから学ぶ経済政策』(角川Oneテーマ21)、『脱貧困の経済学』(共著、ちくま文庫)など多数。

  
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