2024年4月20日(土)

メディアから読むロシア

2015年3月3日

前倒しの議会選及び大統領選は、デモとそれの鎮圧という形式の新たな内戦のスパイラルと、東西の選挙結果の分裂を正当化する口実となり、結果的にウクライナの分裂を加速することになろう。

ミュンヘン安全保障サミット(『スヴァボードナヤ・ガゼータ』註:2014年1月31日から2月1日定期会合が開催された)の過程と結論に鑑みれば、EUと米国は同国の分裂を許容し、こうした事態の推移を特別なこととは見なさないであろう。EUによってウクライナが地域ごとに大東欧圏に吸収されるという考えは、何人ものEUの公的発言者が口にしていることであるばかりか、高い地位にあるウクライナのエリートの中にもこれに同調する者がある。ロシアはこの地政学的な陰謀に与するのであろうか?

「欧州側の地政学的陰謀」?

2. ウクライナに対するロシアの政策は、次のようなプラグマティックなものである必要がある。

第1に、ヤヌコヴィチ政権は完全に破綻している。彼に対してロシア連邦が政治的、外交的、経済的、情報上の支援を行うことはもはや何の意味もなさない。

第2に、「マイダン支持者」と呼ばれる都市ゲリラ戦により、同国東部の地域指導者に対する突発的な内戦が起こっている状況下では、ウクライナという国家が地政学的ラインに沿って「西部地域+キエフ」と「東部地域+クリミア」の地域連合に分裂することは確定的となった。このような状況下で、ロシアはいかなる場合でも、キエフ、組織化された反体制派(アルセニー・ヤツェニューク、ヴィタリー・クリュチコ、オレフ・テャヌィボク、ペトロ・ポロシェンコなど)、そして欧州委員会との間の政治的バランスに影響力を及ぼすことだけに政策を限定すべきではない。

第3に、デフォルトの危機が迫り、ナフトガズ社のガス代支払い力が存在していないにもかかわらず、中央政府はほとんど麻痺し、責任能力のある政府を形成することができていない。このような状況下で、ロシアはウクライナの領土的一体性を毀損することを目論む欧州側の地政学的陰謀に断乎として介入せねばならない。

これは何よりも、我が国がエネルギー資源の消費市場を失うリスクに晒されているためではない。より危険なことに、ウクライナにおけるガス輸送ネットワークを間接的にであっても失うことになるためである。これによってガスプロムは中欧及び南欧で脆弱な立場となり、我が国に深刻な経済的ダメージをもたらすこととなろう。


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