いま、なぜ武士道なのか

2009年8月15日

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300年以上も前、佐賀鍋島藩のふたりのサムライによって書かれた『葉隠』。
懸命に生きることを説くメッセージを主軸に、その内容は組織に属する人々の心構えにも及び、上司からの酒の誘いを上手に断る方法や、部下の失敗をフォローする方法など、現代のビジネスパーソンにも通じる処世訓も多く含まれ、金科玉条とすべき教訓に満ちているのです。
この「序」を皮切りに始まる連載では、永い風雪に耐えてきた『葉隠』が伝えるメッセージを、現代のビジネスパーソンに向けて披露します。

現代のビジネスシーンに通じる処世訓の数々

 先ごろ、酒酔いで大臣を辞任した閣僚がおりました。優秀な人物ではあったのでしょうが、こういう醜態をさらしてしまえば帳消しになります。まことにもったいないことです。こうしたことは例外ではなく、多くの人が経験していることでしょう。

 『葉隠(はがくれ)』と聞くと、古いイメージをもたれる方が多いかもしれませんが、事実はまったく違います。「酒席の章」を読んでいただければそのことがわかります。ここを読んで実践していたなら、「大臣の辞任」はおそらくなかったでしょう。つまり、酒席での戒めが懇切丁寧に書いてあるからです。

酒盛の様子はいこうあるべき事なり。心を附けてみるに、大方飲むばかりなり。酒というものは、打ち上がり綺麗にてこそ酒にてあれ、気が附かねばいやしく見ゆるなり。大方、人の心入れ、たけだけも見ゆるものなり。公界物なり

(現代語訳)
酒盛の仕方はきびしくしなければならない。気をつけてみると、たいていの者はただ飲むだけである。酒とは、切り上げがきれいにしてこそ酒である。ここに気がつかないと卑しくみえるものである。だいたい人の心がけは、そのまま表れる。酒の席はすべて公の場と考えればよい。

 「公界物(くがいもの)」とは公の席といった意味です。酒席の心得について語った項です。これほどの古典に、これほど懇切丁寧な忠告は稀です。酒席は新年のお屠蘇(とそ)から始まって師走の忘年会まで、数限りなくあります。だからこそハメをはずすことがあります。

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