学びなおしのリスク論

2015年3月11日

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漆原次郎 (うるしはら・じろう)

1975年生まれ。神奈川県出身。出版社で8年にわたり理工書の編集をしたあと、フリーランス記者に。科学誌や経済誌などに、科学技術関連の記事を寄稿。早稲田大学大学院科学技術ジャーナリスト養成プログラム修了。日本科学技術ジャーナリスト会議理事。著書に『原発と次世代エネルギーの未来がわかる本』『日産驚異の会議』『宇宙飛行士になるには』など。

 さらに、BCPに携わる人材育成のため研修制度をつくること。「たとえBCP担当者が異動しても、機能が維持されるように人を育てなければなりません。一回の研修で育成されるわけではないので、何度も続けることが必要です」。

 浅野氏が支援している自動車メーカーでは、社長直下に数人からなる専門部署が置かれているという。事業部や部署を超えた指揮や横断的連携が必要となるからだ。定期的に関連会社を集めて指導会も実施しているという。

「自分たちの弱点を知っておく」

 実際、BCPをつくるときにはどのようなことが重要になるだろうか。浅野氏はこう話す。

 「災害時にはリソースが限定されてしまいます。その際のリスクを、見える化・明確化しておくことです」

 つまりは「自分たちの弱点を知っておくこと」だという。たとえばメーカーはサプライチェーンのうち、どの部分が寸断したら経営に大きな影響があるかなどを明らかにしておくわけだ。

 浅野氏の支援先のメーカーは、各サプライヤの建物に関する情報をデータベース化し、野村総研提供の被災シミュレーションや、地震が起きたとき気象庁が出す地震動データと連動させているという。これで、大地震発生直後、たとえ被災したサプライヤからの連絡が途絶えても、影響がどのくらい起きていそうかを予測できる。それをもとに、サプライチェーン全体への影響も予測できる。事業継続への素早い対応ができるわけだ。

 ただし、そこまでレベルの高い体制をとれる余裕のない企業は多いだろう。

 「どこでどんな地震や津波が起きうるかは想定されているので、それらをもとにシナリオをもっておくことは大事です。もちろん、実際の災害ではシナリオと異なることのほうが多く起きますが、シナリオがあれば事前にやって置かなければならないことを検討しやすくはなります」

 実際、シナリオをもとにBCPを策定し、マニュアル化している企業もある。ただし、そうしたBCPやマニュアルのなかに、なかなか盛り込まれない事項があると浅野氏は言う。

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