都会に根を張る一店舗主義

2015年3月31日

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 こうして岩井社長が視察に足を運んだのが、5年ほど前。だが当時は、まだ鳴子の方でも都心の店を支えるほどの米の量が賄えなかった。その後、生産農家も増え、再び、阿部さんからの打診もあって、取引が決定。結城先生らの決めた「農家が来年もまた作ろうとやる気の出る価格」も一俵が24000円、偶然にも『おむすび権米衛』の買い取り価格と同じで、これにも何か運命の出会いを感じたという。

 しかし、その後も試行錯誤は続いた。『おむすび権米衛』の特徴は、米粒を潰さないように、ほろりと崩れるようなおにぎりである。ところが、独特の重さのある鳴子の米はなかなか崩れない。そこで、この店で出せるまでには、商品開発部が中心となり、精米の仕方、炊き方を何度も変えて研究し、ほぼ2年を費やしたという。

豚汁。ごぼうにニンジン、大根と具材がごろごろ入って温まる

 アパホテルに宿泊した客が、その一階の神田神保町店で「おにぎりを2つ、みそ汁か、豚汁に、鶏のから揚げなどのお惣菜をつけても、だいたい600円ほどで朝食をとることができるんです」。

 店内には、セルフサービスで自由に飲める温かなお茶もある。それに店舗で販売されているペットボトルのお茶も、鹿児島の知覧にある自社農園で栽培された有機の緑茶を高野山水で抽出するというこだわりようだった。

 多くが駅ビルなど、立地条件の良い場所に出店している『おむすび権米衛』にとって、駅から少し離れた大通り沿いは、ちょっとした冒険だという。だが、昼時ともなれば、店は近くのサラリーマンたちで混み合い始めた。そして、この店を支えていたのは、19歳から22歳の若い女性たちが3人。彼女たちが、接客だけでなく、店頭に並ぶ10数種類のおにぎりを奥で握り、から揚げも揚げれば、半身で届く定番のさけも店で焼いて、ほぐす。

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