2024年4月20日(土)

田部康喜のTV読本

2015年3月19日

 ガソリンを売りつくしてしまったスタンドが続出したのである。長距離トラックは、帰りの燃料のめどがたたないと前には進めない。

 ガソリンを輸送するタンクローリーは、実はガソリンが陸揚げされる港と、スタンドを往復するように効率的な狭い地域とコースを設定されている。仙台港と塩釜港の拠点が津波にやられると、震災地は深刻なガソリン不足に陥った。

 つまり、ガソリンの輸送路は、タンクローリーによる長距離輸送を前提としていなかったのである。

 しかも、震災地以外の地域には、余剰のガソリンが大量に存在した。システムが輸送を阻んだのである。そして、物資の輸送に滞りがでて、水や医療品などの不足によって、亡くなった被災者がいたと考えられている。

 政府がこうしたガソリンの輸送の問題について、震災地以外から長距離の輸送を指示したのは、3月17日になってからのことだ。

 東洋大の小嶌さんは、地域別にガソリンを備蓄するシステムを構築すべきだと、提言する。つまり、拠点港とガソリンスタンドを結ぶばかりではなく、災害に備えて、中国地方とか地域別に備蓄基地を整備する案である。

 ビッグデータは、社会の制度までも変える力がある、といわれる。

 政府は来月から、国の機関や会社のビッグデータを、地方自治体に送るシステムを開始する。

 東日本大震災を教訓として、災間社会のありようを示す、NHKスペシャルのこれからのシリーズにも期待したい。

  
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