2024年4月20日(土)

Wedge REPORT

2015年3月19日

 その後、液晶関連の検査装置も開発し、2000年代前半に大ヒットとなって売上を伸ばして06年には上場。しかし、リーマンショックで一気に市場が萎み、 受注がゼロに。再び遭遇した「事業喪失」にめげず、赤字を出しながら我慢の開発を続けた結果、またも強い新製品を開発し、14年4月期に黒字化。今期、順調に成長軌道に乗る中で、今回の買収案件が持ち込まれた。

 シナジーを見込めるまたとない案件に、菅原社長は地銀や都銀をめぐったが理解は得られなかった。地方ではこの規模のクロスボーダーM&Aの投資経験が少ないのだろうが、いみじくも創業当時から支援してきた地場のエンジェル投資家はこう言ったという。「秋田に、インスペックのような野心的な企業は他にどこがあるんだ。地銀が支えないでどうする」。

 菅原社長は、とうきょうファンド側の担当者、荻島久寛氏(日本政策投資銀行企業ファイナンス部副調査役)のことをこう評価する。「事業そのものを理解しようとしてくれた。取引先や関係先をくまなくヒアリングしていく行動力は、およそ銀行マンらしくない。その分、荻島さんにつきあう私と財務担当は大変でしたが」。

 「雨の日にこそ傘を貸そう」――。とうきょうファンド組成の背後には、荻島氏ら若き銀行マンたちの、金融界に対する危機感があった。3月20日発売の月刊『Wedge』4月号では彼らの動きを詳述した。ぜひご覧いただきたい。

【特集】滅びゆく農協 岩盤規制と農業の行方
・PART 1 弱体化する農協 離れ出した農家
・PART 2 60年ぶりに農協改革の実態
・PART 3 改革の本丸「准組合員問題」の真相
・PART 4「脱農化」した農協に必要な更なる本質的な改革
農村票を武器に戦後最大の圧力団体といわれてきた農協に改革のメスが入った。政治の介入を拒み続けてきた農協に何があったのか。巨大組織・農協の実態に迫る─。


 


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