世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年4月1日

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 米外交問題評議会のハース会長が、Project Syndicateのサイトに2月23日付で掲載された論説にて、対IS戦略を論じ、近隣国によるスンニ派中心の多国籍地上軍の結成が最善の策である、と提案しています。

 すなわち、イスラム国(IS)を弱体化させることはできるが、そのための戦略は、包括的でなければならない。

 第一に、政府と金融機関は、ISへの資金の流れを止めなければならない。

 第二に、ISへの人の流入を止めることが重要である。特にトルコが人的流入のパイプになることを止め、テロに対するより強力な国際協力を要求する国連安保理決議2178を執行すれば、大きなインパクトを与えよう。

 第三に、ISのアピールとプロパガンダに対抗することである。IS支配の悲惨さを公表するとともに、ISの行為がイスラム教の観点から正統でないとイスラム教の指導者・学者に論じてもらうように説得すべきである。

 いかなる戦略も、イラクとシリアにおいてISに直接挑戦しなければならない。イラクではISの勢いが止まっている証拠があるが、イランとシーア派民兵の役割の増大は、イラクのスンニ派にISへの共感や支持を抱かせている。それゆえ、外部の勢力は、クルドとスンニ派部族に軍事的・政治的支持を与えるべきである。

 シリアは、内戦、外部者の影響力争いゆえに、もっと困難である。ISへの空爆は必要ではあるが、十分ではない。ISの領域的基盤は、地上軍だけが奪いとり得る。

 最善策は、近隣諸国、特にヨルダンを含む多国籍軍を作ることであろう。米国と他のNATO諸国は支援を提供し得るが、戦闘は主としてスンニ派によってなされなければならない。この地域で起こっていることは、文明内の衝突である。ISが、それを文明間の紛争と位置づけ、ISこそがイスラムの真の守護者である、と位置付けるのを許してはいけない。

 穏健なシリアの反乱軍とクルド人は、スンニ派多国籍軍の一員たり得る。遠征軍の構成が出来ないとすれば、空爆を強化し、ISの勢いを減速させ、別の戦略を立てるために時間を稼ぎ得る。

 外交は、今は大きな役割を果たし得ない。外交にできることは、国連がアレッポで試みているように、シリア政府と国民の戦闘を減らすことであろう。

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