南シナ海で島建設を着々と進める中国

防衛的機能と力の投影


世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察するコラム。

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米シンクタンクAEIのマッザ研究員が、中国は南シナ海で人工島を建設しており、これは中国沿岸部の防衛のためだけではなく、南シナ海での力の投影を可能にするものである、と2月26日付のReal Clear Defenseで述べています。

 すなわち、先般、米ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、中国が南シナ海で島を建設している一連の衛星写真につき報道し、同日米シンクタンクCSISの「アジア海洋透明性イニシアチブ」も同様の写真を公開した。

 中国にとって、南シナ海の領土の主張を実行に移すことは、中国の望む資源を入手する手段を確保し、同時に中国国民に対し、共産党が中国の統一を防護し維持できることを示すため重要である。

 しかし、中国の島建設には軍事的、戦略的側面もある。

 まず、中国の沿岸部は、東では米国の同盟国に取り囲まれ、沿岸全体に米海軍の支配する海に面していて、戦略的深度に欠ける。人民解放軍が外洋の海軍とミサイル戦力を強化しているのは、地理的に欠けている戦略的深度を得ようとしているためである。

 中国は、南沙諸島に島を作ることで、中国沿岸に南と西から接近する敵の戦力に対抗できる。そのうえファイアリー・クロス礁に滑走路が建設されれば、海南島からマラッカ海峡までの距離を3分の1縮め、長距離封鎖に力強く抵抗できることになる。

 中国が南沙諸島を軍事化するのは、単に防衛的動機からではない。中国沿岸から700マイル離れたところに滑走路、ヘリポート、砲座、物資の貯蔵庫、船舶の停泊所を作ることで、中国は力の投影ができるようになる。歴史的宿敵であるベトナムは、初めて南西部の沿岸沖に、中国の軍事力が恒久的に配備されることを懸念しなければならない。中国の埋め立て計画が玄関先で行われるフィリピンは一層懸念することとなる。新しい島で、中国軍はインドネシアのナトゥナ諸島の近くに駐留することとなり、状況によっては、中国はナトゥナ諸島の領有を主張するかもしれない。

 要するに、南シナ海に新しい島を作り、中国の軍事力の足場になれば、南シナ海の沿岸国、そしてインド、豪州、米国の軍事立案者にとっての新しい挑戦となる。それはまた、南シナ海経由の物資の自由で安全な輸送に生活がかかっている台湾、日本、韓国にとっても新しい挑戦であろう。中国は長らく封鎖されることを憂慮してきたが、いまや他国が依存するシーレーンを妨害できる立場に立つ。

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