中国の人権弾圧と法の支配無視

対中政策の前提を見直すべき


世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察するコラム。

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米ワシントン・ポスト紙のフレッド・ハイアット社説編集員が、3月8日付の同紙に、「中国の無法な道」と題する論説を書き、対中国関与政策は、中国の民主化に資するという前提で進められてきたが、最近の人権無視の事例などを見ると、その前提に疑問があるので、対応ぶりを再検討すべきである、と指摘しています。

 すなわち、中国は、米国や民主社会へ大きな挑戦をつきつけている。中国の開放政策以来の米国の対中政策の基本的な前提がひっくり返されている。

 中国で人権弾圧が行われていることはもはや疑いえない。ヒューマン・ライツ・ウォッチは、最近、習近平と共産党は政治的に動機づけられた拘束などのキャンペーンをしていると報告している。2008年の北京オリンピックから締め付けがきつくなり、習近平になり一層そうなったという。当局により、有名な弁護士や活動家が逮捕されている。ジャーナリストの高喩(Gao Yu)、人権弁護士の浦志強(Pu Zhiqiang)、ノーベル平和賞の劉暁波(Huang Zerong)が逮捕や収監されている。これらに対する国際社会の反応は鈍い。

 長期的にはこれは中国の問題である。市民的自由の増大が経済成長を支えてきた。しかし企業家精神や外部世界との自由な交流の抑圧は、これまでのような早い成長を不可能にするだろう。経済がうまくいかないときには、醜い民族主義や不寛容が台頭しよう。

 米国は貿易、投資、学生交流などが中国の民主化、国際規範の順守につながることを前提にしてきたが、その前提が怪しくなっている。

 歴代政権は人権問題を脇に置き、政治・経済関係を進めてきたが、この二つは簡単に分けられない。米国の会社が政治的統制のために、中国から排除され、中国は中国人が読めるニュースサイトを制限している。国営企業は影響力を増している。

 関与政策は、中国との経済的結びつきに鑑み、放棄できない。しかし、次期大統領にとり、自分で規則を書いている台頭する大国とどう関与するかは、ウクライナ問題以上に難しいだろう、と述べています。

出典:Fred Hiatt‘China’s lawless path’(Washington Post, March 8, 2015)
http://www.washingtonpost.com/opinions/rethinking-us-china-policy/2015/03/08/45d195c8-c34a-11e4-ad5c-3b8ce89f1b89_story.html

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 上記ハイアットの論説は、対中政策について、その前提もふくめ見直すべきであるという問題提起です。

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