解体 ロシア外交

2015年4月9日

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 ウクライナ危機の影響もあり、昨年末からロシアが経済危機に瀕していることは拙稿(『ロシアの経済危機はウクライナ問題がなくとも予想されていた』)でも論じた通りである。しかし、米国が主導している対露制裁は実は、効果が出ていないどころか、アメリカの世界経済戦略を脅かす結果すら生んでいる。さらにその趨勢を刺激しているのが中国である。本稿では、制裁がうまくいっていない理由、そして中国の動向とその影響について考えてゆく。

対露制裁を主導する米国のジレンマ

 ウクライナ危機に伴って、次第に強化されてきた欧米主導の対露制裁は、最近ではその効果が疑われており、むしろ米国が被害を受けているという論調も珍しくなくなっている。

 まず、米国は冷戦後にロシアを含む旧共産国を取り込んで、グローバルな政治経済システムを構築しようとしていたが、ロシアに通商・金融面で制裁を課すと、ロシアをグローバルな政治経済システムから締め出すことになり、結果、米国は冷戦後の努力の成果をみすみす無にしているとも言える。

 加えて、このような経済制裁によって、他の国々が米国主導のグローバルな金融システムに組み込まれると、何かあったときに制裁によって大きな被害を受けうると考えてしまい、戦略的に警戒するようになる。そうすれば、ロシアの離脱のみならず、さらに多くのアクターが米国主導の政治経済システムに背を向け、同システムは行き詰まる可能性が高くなる。

 さらに、経済制裁のターゲットは主にプーチンの取り巻き、国営企業やその関連企業であったが、制裁の対象は拡大している。また、経済制裁はターゲットにのみ影響を与えるわけではなく、その影響は独立系の民間企業にもドミノ式に及んでいる。そのダメージはロシアの民間経済のみならず、グローバルな政治経済システムにとっても深刻である。なぜなら、独立系の民間企業は欧米との取引や関係の強化を目指していたわけで、制裁はそのようなロシアの一般人が起こした優良企業にも大きな打撃を与えることとなり、それはさらに欧米が制裁の対象としていないロシアの一般人の経済グローバル化にも悪影響になる。

ロシア国家評議会で欧米の制裁を批判するプーチン大統領
(写真:代表撮影/AP/アフロ)

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