世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年4月28日

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 元CIA東京支局長のハリントンが、米国政府は、アジアの安定維持のためにも、日韓間の歴史問題に関する争いを止めさせ、日韓両国の防衛協力強化を働きかけるべきであると論じています。

 すなわち、最近のワシントンでのアジア安全保障問題に関する会合で、シャーマン国務次官が韓国の際限の無い日本たたきを公的に批判したことは注目に値する。シャーマン次官によれば、慰安婦問題について日本の謝罪を再び求める韓国の姿勢は、「麻痺」を生み、「前進」に繋がらない。

 しかし、シャーマン次官の批判は、日本についても言えることである。安倍総理は、靖国神社を参拝し、日本の侵略に関する過去の公式謝罪についても修正主義的批判を抱くなど、韓国の反日派を挑発することを辞さないからである。

 両国間の際限の無い緊張関係は、米国のアジア回帰戦略の妨げにもなっている。

 情報の共有がその一例である。昨年12月に米国が北朝鮮のミサイル・核計画について、韓国、日本との情報共有協定の締結を提案したが、日韓両国は秘密情報を相互に提供し合うことを拒否したため、米国が仲介役を果たすことになった。

 中国は、日韓間の敵意を利用して、アジアにおける米国の戦略的利害を損なおうとしている。習近平主席は、昨年7月の訪韓に際し、両国間の経済関係の深化と共に、過去の日本の戦争についての認識の共有を強調した。中国側は、過去の罪に対する日本の反省が十分でない場合には、中国の第2次大戦終了70周年記念行事から日本を排除する可能性も示唆している。

 実際、中国が軍事力増強から露骨な積極行動に転じていることからも、アジアが直面する安全保障リスクは高まっている。中国は、特に、南シナ海、東シナ海において、領有権を主張し、先進兵器を展開し哨戒を行っている。また、中国は、北朝鮮の体制が崩壊する場合には、安定維持のために派兵することを示唆している。

 日韓間の争いが続いているため、米国のアジアにおける同盟システムの価値は、加盟国の能力の総和を下回る結果になっている。

 日韓関係の修復は緊急を要する。効果的な軍事協力のためには、何年もかけて人的なつながりを築くことが必要であるが、日韓間には、海・空の共同訓練を除けば、殆ど共同行動の経験が無い。

 効果的な協力の為には、共同行動の範囲を拡大する必要があるが、先般の情報共有合意ではそれが実現していない。北東アジアの安定に対するリスクは、北朝鮮の核・ミサイル計画に限られる訳ではないので、情報共有はそれ以外の問題もカバーすべきである。

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