あの負けがあってこそ

2015年5月15日

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 アルティメット(Ultimate)。この「究極」を意味するスポーツの競技人口は世界中に約15万人。日本国内には約4000人が登録されている。愛好者という方まで含めればすそ野は広い。チーム数は小中高校生を含むクラブチームを合わせると約200チームが登録され、その競技者数は右肩上がりだ。

 2012年度からは中学校学習指導要領にゴール型種目として採用されているため、小中高校生世代への普及はさらに加速されると予想される。

 この競技は、各7人からなる2チームが100m×37mのコートでプラスチック製のディスクをパスで繋いで、相手のエンドゾーン内で味方からのパスをキャッチすると得点(1点)となる。

 フィールドを走る選手の激しさとやわらかな軌道を描くディスクの美しさは、まるで同じ空間に異なる時間が混在しているかのように思えるところが、球技にはない特異性であるといえる。

 さらにこの競技には特筆すべき点がある。それはスピリット・オブ・ザ・ゲーム(Spirit of the game)という紳士的な基本理念に基づき、ゲームは審判を置かずに選手同士の判断によるセルフジャッジを採用している点だ。

 選手それぞれにゲーム理解の深さはもちろんのこと、自分自身を律する強い心が求められるということに他ならない。ルールを遵守し、相手を尊重し、仲間を尊重し、競技そのものを尊重していなければ成立しない競技なのだ。まさに「究極」のスポーツマンシップが求められる競技ではないだろうか。

 今回はアルティメットと出合い、大きく人生が変わったひとりの人物にお話を伺った。

アルティメットとの出合い
頂点を目指して

 アルティメット日本代表女子監督、森友紀。

 森がアルティメットと出合ったのは成蹊大学に入学した直後のこと。中学時代はソフトボール、高校時代はハンドボール漬けの毎日を送っていたため、あえて体育系ではない大学に進学したはずだった。英語力を活かして世界が見たいと海外留学も考えていたのである。

 しかし、新入生向けの部活動紹介で行われた公開ゲームを見た瞬間、自分が探していたものにやっと出合えたと直感した。理由は単純、「ディスクが空に浮かんでいる軌道が綺麗だったから」である。

(提供:森友紀さん)

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