万葉から吹く風

2009年9月9日

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石毛直道 (いしげ・なおみち)

1937年、千葉県生まれ。国立民族学博物館名誉教授。農学博士。京都大学大学院修士課程中退(考古学専攻)。著書に『石毛直道 食の文化を語る』(ドメス出版)、『飲食文化論文集』(清水弘文堂)など。

 この歌の料理を再現してみた。奈良時代には醤油はなかった。醤=ひしおというのは、大豆、小麦、米などに麹と塩水を加えて発酵させた「もろみ」状の調味料である。蒜とは、ニンニク、ノビルなど、ユリ科の植物で匂いのするものの総称である。

 市販品の醤油ひしお、酢、生ニンニクをすり鉢にいれ、ペースト状になるまで、すりつぶす。これに鯛の薄造りをあえて、食べてみた。

 なかなかの代物であった。ニンニクの刺激臭をひしおの味がやわらげてくれる。ワサビ醤油で食べるのにくらべると、重厚、複雑でありながら、酢のさわやかさが感じられる味である。ひしおに、バルサミコ酢とオリーブ油を加えて、カルパッチョ風に仕立てると、ワインのつまみにもなる。

 万葉グルメは、現代にも通用する味である。

◆「ひととき」2009年9月号より

 

 


 

 

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