地域再生のキーワード

2015年6月29日

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磯山友幸 (いそやま・ともゆき)

経済ジャーナリスト

1962年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。87年日本経済新聞社に入社し、東京証券部、フランクフルト支局長、「日経ビジネス」副編集長などを務める。11年からフリーに。熊本学園大学招聘教授。近著に『国際会計基準戦争 完結編』(日経BP社)。

「地域おこし」の先駆けともいえる鹿児島県鹿屋市にある集落“やねだん”。自治公民館長として、20年近く取り組みを先導してきた豊重哲郎さんの元には、教えを請うべく全国から志のある人材が集っている。

柳谷自治公民館長の豊重哲郎さん

 鹿児島県鹿屋市串良町に、恐らく日本一有名な、「地域おこしの達人」がいる。豊重哲郎さん、74歳。「やねだん」の呼称で知られる柳谷集落で、行政に頼らない村おこしを約20年にわたって続けてきた。「やねだん」のある大隅半島の中部は、山あいに田園が広がる自然豊かな土地柄だが、観光地があるわけではなし、農業、畜産以外にこれといった産業もない。もちろん少子高齢化の例外ではない。

 ところが、人口300人ほどの、この「やねだん」に、全国から年間5000人以上の視察者がやって来るのだ。そして豊重さんに「地域おこしの極意」を聞いていく。

 豊重さんが繰り返し訴えている事はシンプルだ。「住民自治を意識づけする事の大切さ」である。地域おこしというと、県や市の補助金が出て、上からの指示でモデル事業を行うケースが少なくない。「やねだん」では、住民が自分たちで発案から実行までをやり抜いてきた。しかも、自分たちの創意工夫で生み出した自主財源で賄ってきたのである。「補助金におんぶにだっこでは人も地域も育たない」というのが豊重流の地域おこしの基本である。

 「自分たちが住む地域を何とかしよう、そう住民自身が真剣に考えることが基本だ」と豊重さんは語る。そんな豊重さんの言葉が、全国で地域おこしに取り組むリーダーたちの心に「自立の灯」を点けてきた。今年で17回目を迎えた「やねだん故郷創生塾」に全国から集まった人たちは累計580人。全国から招かれて豊重さんが講演に出向くこともしばしばだ。

移住芸術家1号の画家、石原啓行さん

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