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2015年6月29日

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磯山友幸 (いそやま・ともゆき)

経済ジャーナリスト

1962年東京生まれ。1987年早稲田大学政治経済学部卒業。日本経済新聞で証券部記者、同部次長、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、「日経ビジネス」副編集長・編集委員などを務め、2011年3月末で退社、独立。現在、経済政策を中心に政・財・官を幅広く取材、各種メディアに執筆するほか、講演やテレビ出演、勉強会の主宰など幅広く活躍している。オフィシャルHP(http://isoyamatomoyuki.com/)

著書に『2022年、「働き方」はこうなる』(PHPビジネス新書)、『理と情の狭間 大塚家具から考えるコーポレートガバナンス』(日経BP)、『国際会計基準戦争 完結編』(日系BP)、『ブランド王国スイスの秘密』(日経BP)など。共著に『オリンパス症候群 自壊する「日本型」株式会社』(平凡社)、『株主の反乱』(日本経済新聞社)などがある。

早稲田大学政治経済学術院(大学院)非常勤講師、上智大学非常勤講師。ボーイスカウト日本連盟理事。静岡県ふじのくにづくりリーディングアドバイザーも務める。

日経ビジネスオンライン(日経BP)、現代ビジネス(講談社)、フォーサイト(新潮社)、月刊 WEDGE(ウェッジ)、月刊 エルネオス(エルネオス出版)、フジサンケイビジネスアイ(産経新聞社)などに連載コラムなどを持ち、定期執筆している。

6年かけて全て自前でログハウスを建てた番匠誠さん夫妻

 すべての事業で合計500万円ぐらいの年間収益が上がるようになった。問題はその使い方だ。派手なイベントをやれば一発で消えてなくなる金額だからだ。

 はじめのうちは手伝った高校生をプロ野球観戦に招待したり、全世帯に各1万円のボーナスを配ったりした。取り組みの成果を住民全員に味わってもらうためだ。

 最近では、85歳以上の人に年1万円のお祝い金は出すが、後は、次なる事業の再投資に振り向けている。「年間で1000万円ペースの財源が確保できるようにしたい」と豊重さん。韓国の企業家との交流をきっかけに、とうがらし栽培に乗り出し、粉末状に加工して韓国に輸出する計画が進んでいる。

 集落の空き家を「迎賓館」として再活用するプロジェクトも着実に進んでいる。芸術家に住居として提供し、移住を促しているのだ。画家や彫刻家、写真家などが移り住んでいる。また、研修などで外部から訪れる人の宿泊施設として活用している。

「故郷は自分たちで守る」

 集落を訪れる人たちが散策できるコースの開発も進めている。牛小屋を改装したカフェをオープンさせ、旅行者がのんびりとくつろげる空間を整えた。住民が自力で建てたカナダ産のログハウスも集落の観光資源になると、豊重さんは考えている。

 集落を横切る道の両側に石積みが続く場所がある。ここの壁に集落に住む芸術家や高校生が絵を描き、「ロマンス通り」と名付けてはどうか、というアイデアも浮上している。何もない田舎をアイデアによって観光地にしてしまおうというわけだ。

 集落の中心部にある自治公民館の壁には、様々な「記憶」が壁一面にかけられている。数々の表彰額や長老の写真、住民たちの顔写真。過去のイベントの記録や地域おこしのモットーなども掲げられている。1月に視察に訪れた石破茂・地方創生担当相を歓迎したイベントの様子なども所狭しと貼られている。

 やねだんの20年は、決して派手な取り組みではない。だからこそ今も長続きしている。だが、その原点にあるのは、あくまでも「故郷は自分たちで守る」という自立の精神である。

  
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