ヒットメーカーの舞台裏

2015年6月30日

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池原照雄 (いけはら・てるお)

ジャーナリスト

1950年生まれ。専門紙や全国紙の経済記者として自動車、エネルギー、金融、官庁などを担当。00年からフリーになり幅広い執筆、講演活動を展開。著書に「トヨタVSホンダ」(日刊工業新聞社)、「図解雑学 自動車業界のしくみ」(ナツメ社)など。

 ヘアスプレーを小ぶりにしたような円筒形で、重さは約200グラム。世界最小の洗濯機と謳い、衣類に付いた食物のシミなど部分汚れを落とす。中国に本拠を置く家電メーカー、ハイアールの日本法人が開発した。自社のネット販売サイトで今年1月に予約受付を始めると、短期で計画の2倍強の受注が集まり、発売を2月中旬へと1カ月前倒しした。

水を噴射して1分間に700回振動し、汚れをたたき落とす

 直販価格は税別で1万円。顧客は女性主体と想定していたが、初期受注では男性が7割を占めた。電池式(単4・3本)で出張にも携行しやすいため、男性からの支持が高まっているようだ。ホテルなど業務向けの引き合いも増えているという。

 スプーン1杯の水を使い、30秒で落とすというのがキャッチフレーズだ。直径15ミリ、長さ50ミリ程度の樹脂製部品である「ボトル」に5ccほどの水を入れて本体に装着、モーターを動力にボトルの先端部分で繊維をたたき洗いする仕組みだ。

 1分間に700回の往復運動をするボトルの先端中心部には微細な穴がひとつ開いており、ここから水を適量供給する。付属のゴム製下敷きの上にキッチンペーパーなどを置き、その上に衣類をセットし、汚れ部分に微量の液体洗剤を付けて作動させる。木綿生地に醤油を落として実験すると、面白いように汚れがペーパー側に移っていった。

 開発者はハイアールアジアR&Dマネージャーの野呂勝(48歳)。ハイアールが事業買収した三洋電機で、20年以上コインランドリーなど業務用洗浄機器の開発に携わってきたベテランだが、残念ながら現在の会社にはその多くは継承されていない。

 商品化のきっかけは2013年末に中国本社から「汚れた部分のみを手軽に洗える洗濯機」の開発要望が出たことだ。衣類は汚れたところだけ洗いたいという、中国独特の洗濯への考え方による要請だった。

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