都会に根を張る一店舗主義

2015年6月10日

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 和食業界が世界遺産化を焦った背景には、そんな切実な事情もある。また、日本にも、過去最大の外国人観光客が押し寄せる今、もどきではなく、本物の和食を伝えたいという想いもある。しかし、寿司の説明は、魚の名ひとつとっても難しい。そんな時、この『高砂寿司』があれば、もはや辞書を忘れて冷や汗をかく心配もない。嘉子さんや大将に解説してもらえば事足りるのだった。

リーマンショック後の危機を打開
各国のワインと寿司のコラボ

宴もたけなわの2階テーブル席のオーストラリアワイン試飲会

 この小さな店で、スタッフだと紹介されたのが足立聖昭さんだ。もともとは店のコンピュータが壊れた時の相談役だったが、今は各国のワインの試飲会も企画する。この晩、たまたま催されていたのは、オーストラリア・ワインの試飲と寿司のコラボ。

 20席ほどの2階のテーブル席を貸切り、インポーターがワインを解説しながら、これに合う寿司を楽しもうという試み。大将は、オージービーフ使った創作巻き寿司に挑んだ。ワインの引力か、驚くほど女性が多い。

 「リーマンショックの後、お客さんが減ったこともあって、夫婦で考えたんですよ。そうしたら面白くてね。この前は『マッサン』(NHK連続テレビ小説)にちなんで、ウィスキーマスターを呼んで、寿司とコラボをしたら、そんなこと初めてだって面白がられてね」

 嘉子さんが続ける。

 「フランスやイタリアは、イベントも多いし、あまり乗り気でないけれど、足立さんが、ブルガリア、オーストリア、ポルトガル、ルクセンブルクとか、まだ日本では認知度の低い、あまり大きくない国の大使館に営業かけるんです。すると、国の解説までしてくれて、盛り上がるんですよ」

 今後の目標を訊ねると、大将は、「これまではせめてせめて、とにかくせめてやってきた。でも50歳になって今、ちょっと守りに入ってます」と少し言いよどんでから、こう告げた。

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