メディアから読むロシア

2015年6月9日

»著者プロフィール
著者
閉じる

小泉悠 (こいずみ・ゆう)

財団法人未来工学研究所客員研究員

1982年生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了。民間企業を経た後、2008年から未来工学研究所。09年には外務省国際情報統括官組織で専門分析員を兼任。10年、日露青年交流センターの若手研究者等派遣フェローシップによってモスクワの世界経済・国際関係研究所(IMEMO)に留学。専門は、ロシアの軍事・安全保障政策、軍需産業政策など。著書に軍事大国ロシア』(作品社)、『プーチンの国家戦略』(東京道堂出版)『ロシアの軍事情報を配信するサイト「World Security Intelligence」(http://wsintell.org/top/)を運営。

 前回の小覧では、中露接近に関して、ロシアの代表的な国際政治学者である高等経済学院のカラガノフ教授のインタビュー前半を取り上げた。中国への脅威感を打ち消しながらも、いかにして中露の対等性を確保するかがロシア側の大きな関心事である、というのが前回の結論である。

 なかでもロシアが大きな期待を掛けているのは、中国との関係性に難を抱えた諸国との関係強化による多角化戦略である。そこで今回は、こうした多角化戦略の一環として、ロシアが中国とともに加盟する2つの国際機構、すなわち上海協力機構(SCO)とBRICSを軸にロシアの多角化戦略をカラガノフ教授がどのように説明しているのかを見て行きたい。

「ドイツという好例がある」

(画像:iStock)

――ロシアは中国とともに上海協力機構(SCO)やBRICSといった国際機構に加盟しています。中国がこれらの機構を支配する危険性はないのでしょうか?

カラガノフ:SCOやBRICSの思想はかなりの程度、それらが対等な国々による同盟及び連合であることを指向している。中国が強大な能力を有し、経済の観点からその他の国々を上回っていることは事実である。しかし、そこにおいて、各国は完全に自律的な道を歩んでいる。それらは成功している。というのも、各国がそこで団結することでさらなる政治力を得ているのであり、そこで得られる資源に閉じ込められているわけではないからだ。

BRICSにおける各国の利害対立について言えば、これは粛々と解決されている。さらに言えば、たとえばBRICSにすでに存在するメカニズムにより、中印の指導者はますます頻繁に会合するようになっている。我々は今日、中印間が諸問題について話し合いを持つという喜ばしい傾向を目にしている。両国には常に競合関係があり、これは事実であるが、その対立や相違は減少しつつある。

SCOでは何が起こっているか見てみよう。今後の数カ月から数年の間に、上海協力機構が新たなコミュニティ、すなわち大ユーラシアの中心となることも排除されない。しかしそのためには、SCOに具体的な計画と具体的な協力を積ませることを含め、少なからぬ方途が必要とされる。

関連記事

  • PR
  • 新着記事

    »もっと見る