2024年4月25日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年7月3日

 先進国経済は、2008年金融危機の影響を乗り切ったとは言えないかもしれませんが、上向きであることは間違いありません。他方、これまで誉めそやされたBRICS諸国の経済は、構造的要因により停滞感を強め、G20も意思決定メカニズムが目詰まりしたままです。つまり、先進諸国はその力と責任を再認識し、これからの方向を定めるべき時期にあります。

 米大統領選を前に、「経済か安保か」で米国論を割ることなく、「経済で安保も」の方向での超党派合意が達成されることは、悪いことではありません。

 ただ、本件論説の筆者両名は政策プロで、提案しているものが具体的で実務的であるのは良いのですが、外部の者の目から見た場合、満足しきれないものがあります。

 米経済の再活性化のためには、消費不活発の原因となっている所得格差及び中産階級の疲弊是正に取り組んで欲しいですし、国際的にはドルがバブルを起こし世界経済を麻痺させるのを防ぐためにボルカールール(商業銀行がヘッジファンド、デリバディヴ等の高リスクの取引をするのを禁じる)を徹底して欲しいです。

 なお、米経済の再活性化を論ずるのであれば、ドル高の問題の議論を避けて通ることはできませんが、この論説では、ドル高問題には言及していません。

  
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