世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年7月17日

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 インターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙の元編集長ヴァイノカーが、6月15日付ウォール・ストリート・ジャーナル紙掲載の論説で、プーチンが核をもちらつかせてNATOを掘り崩そうと試みているのに対して米国は断続的にしか意味ある反応をしていないと述べ、米国の対露対応に不満を表明しています。

画像:iStock

 すなわち、ロシアの政権に近い学者がパリのシンクタンクで、「我々は今やNATOと対決する核能力を持っている」と述べた。ロシアはウクライナでの対決を超えた問題になっている。

 ロシアが核兵器を自慢するのは新しいことではない。しかし、米国がロシアはINF条約違反の巡航ミサイル実験をしたと抗議した2日後に、こういう発言をした、そのタイミングが問題である。デンプシー統合参謀本部議長が「プーチンはNATOを掘り崩す機会を狙っている」と指摘したことと合致する。

 過去にノスタルジアを持つプーチンにとり、一つの前例がある。1980年始め、ソ連はそのSS-20配備に対抗して、米国が巡航ミサイルとパーシングを欧州に配備するのを阻止するのにほとんど成功した。今、ロシアは欧州の躊躇や意見不一致の表れを喜んでいる。

 ある世論調査によれば、ドイツ、フランス、イタリアの世論はNATOの境界国がロシアに攻撃された場合、防衛することに反対している。ドイツが一番熱心でない。NATO条約5条(注:共同防衛義務条項)がふらついている。

 ロシアは、「ウクライナのロシア侵略への西側の反応は世界平和を脅かす」という方向に話を持っていっている。プーチンの脅しが核の脅しになる中、オバマ政権がロシアを止めるいかなる軍事的対応もしていないことは、プーチンを元気づけているだろう。ウクライナへの武器供与は手遅れである。ロシアの隣国への重火器と米軍配備は、これら諸国の恒久的な基地要求への妥協策にしか見えない。

 仏高官は「NATOが地域紛争でのロシア核についての対応を考えることは重要」としつつも、欧州への新しい米軍配備はありそうにないとしている。

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