WEDGE REPORT

2015年7月5日

»著者プロフィール

 日本のベンチャーの成り上がり方といえば、自力で成長したり、VC(ベンチャーキャピタル)に急かされたりしてIPO(新規株式公開)にこぎつけるというのが一般的で、アメリカなどに比べて欠けているのが大企業による出資やM&Aといった形でのコラボレーションだと言われる。そうしたなかで楽天が、旅行系ベンチャー企業・Voyagin(ボヤジン・本社シンガポール)の株式の過半数を取得すると、7月2日に発表された。

VoyaginのWebサイト

 Voyaginは、旅先の旅行体験を個人間で取引することができるwebサイトを運営している。例えば、「築地ガイド、2時間、 50ドル」といった具合で募集がかけられる。Voyaginのホームページは、ツアーガイドや「旅行者に体験を提供したい」 と思う人と、旅行者をマッチングする場だ。

 日本だけではなく、アジアを中心に50以上の国と地域で、現地の文化体験や隠れスポットへのツアーなど約1700の旅行プランを提供している。2011年に会社設立後、2014年3月には本社をシンガポールに移した。楽天の提携と、今後のビジネス展開についてVoyaginの高橋理志社長に聞いた。

Voyagin高橋理志社長

Q 楽天の出資でVoyaginはどう変わるのか? メリットとデメリット
高橋 運営形態は現状のままです。楽天から社員が出向してくることも現時点ではありません。楽天のほうから「あれしろ、これしろ」という指示もありません。彼らは、これまでもスタートアップ(ベンチャー企業とほぼ同義語)のM&Aを何度も行ってきているので、あれこれ口出ししても、良いことにはならないという経験則をもっています。だから、「何かやってほしいこと、やりたいことがあれば言ってきて」というスタンスです。

 2011年に起業して全力疾走してきましたが、会社が大きくなるにつれて、法務・労務・経理などバックヤードの仕事も増えてきています。その部分で助けを借りたり、相談できたりするのはありがたいですね。それだけではなく、オンラインマーケティングや、カスタマーサポートの手法といった本業におけるノウハウについて教えてもらうことも多いです。

 本業の部分でいま協業を考えているのは、楽天トラベルを利用してホテルを予約した外国人向けに、Voyaginの旅行商品を販売することです。インバウンドが爆発的に増えているこの機会をしっかりとらえたいですね。

 このところのインバウンドの動向を見ていると、リピーターが増えているという印象があります。初回の人たちは東京と京都ですが、リピーターは中国地方をレンタカーで旅するなどということをしています。こうした旅行者向けに新しい商品をつくっていこうと考えています。

 楽天と提携したことのデメリットを挙げるとすると、意思決定のスピードが遅くなったことでしょうか。これまでは、なんでも僕が決めていましたら(笑)。ただ、そこには不安もあったわけでして……。いまは、一度、楽天側に投げてというところで時間はかかりますが、「それには、こういうリスクがあるよ」とボールを投げ返してくれるので、逆に役立っている部分でもあります。

関連記事

  • PR
  • 新着記事

    »もっと見る