山師の手帳~“いちびり”が日本を救う~

2015年7月7日

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 6月29日から7月1日までの3日間、レアアース国際会議がネバダ州ラスベガスで行われた。このレアアース不況の最中に世界から150名以上の関係者が集まった。初日は世界最大級のモリコープのマウンテンパス鉱山とレアアースの分離工場のプラントツアーである。2日目と3日目は世界を代表するレアアース企業の発表とパネルディスカッションが行われた。

マウンテンパス鉱山

 実は今回の会議はモリコープがChapter11(倒産処理手続き)を申請した直後のレアアース国際会議だったので関係者は注目していた。モリコープの経営破綻は以前からある程度は予想されてはいたが、まさかこんなに早く申請されるとは誰も思わなかったので驚いたのである。

眼光鋭く視察する筆者

 中国のWTO敗訴(内容は後述)の結果、5月1日から中国政府の輸出許可書と輸出税の廃止が決定したばかりであるが、今年の1月頃から既にレアアース価格は下落の一途を辿っていた為にモリコープ社としては利払いが不能になる6月末を待たずにChapter11の発表に踏み切ったのである。日本人の感覚からすると倒産企業が平気で顧客を工場に招いたり、国際会議のホスト役として会議を招集するとは正気の沙汰ではないのだが、彼らの感覚からすれば早く経営を再建させるための手法として割り切っている様なのだ。

チャプター11って何だ? 
倒産しても「平気の平左」

 そもそも、チャプター11とは、米国の連邦倒産法において再建型倒産処理手続を内容とするものであり、債務者自らが債務整理案を作成できることから、日本でいう民事再生法に相当するものである。これまでの過去のケースでいえば、以下のような大手企業が適用しているのでアメリカでは驚くほどのことではないらしい。

 例えば2005年のデルタ航空とノースウエスト航空、2008年のリーマン・ブラザーズ、2008年のポラロイド、2009年のクライスラーであるが、事実これらの企業の再建は進んでおり、今回のモリコープ社の幹部たちの姿勢をみていても実に堂々としたものなのだ。

 現在の経営者は、経営責任を中国のレアアースの下落と前経営者の方針のミスと割り切っており「平気の平左」という態度だから違和感を覚えるのはどうやら我々日本人だけのようである。事実、6月の後半には大口債権者との債務再編契約が締結された結果、再建の為に最大2.25億米ドル(約280億円)の提供が決定したとしている。どうりでモリコープのジェフ・ベッドフォード社長は平常心で対応していた訳だ。

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