ヒットメーカーの舞台裏

2015年7月24日

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池原照雄 (いけはら・てるお)

ジャーナリスト

1950年生まれ。専門紙や全国紙の経済記者として自動車、エネルギー、金融、官庁などを担当。00年からフリーになり幅広い執筆、講演活動を展開。著書に「トヨタVSホンダ」(日刊工業新聞社)、「図解雑学 自動車業界のしくみ」(ナツメ社)など。

 29歳だった05年1月、秋田に戻って起業に踏み出した。ただし、資金はわずか50万円だったので自営業でスタートし、県内の温泉施設の掃除請負などを手掛けた。同じ県内の温泉施設でも、泉質によって水アカの特徴が異なることも分かった。個々の施設に適した洗剤を「オーダーメイドのように調合して提供」するうちに顧客の信頼も獲得、着実に販路を広げた。こうした資金不足による“遠回り”が後々の製品開発の血肉になっていった。

 2年後の07年に法人としてのアスターを設立。商品も業務用だけでなく家庭向けも加え、10年からはネット販売にも着手した。「茂木和哉」の成功は、デパートや量販店などで活躍する「実演販売士」との出会いから始まった。茂木がブログで発信していた洗剤への考え方に共感した販売士が、コラボを申し入れてきたのだった。

 別名で売っていた同様の製品は売れ行きが芳しくなく、販売士がネーミングやデザインなどの一新を提案してきた。茂木も「勝負の時」と、この提案を受け入れ、量販店での実演により主婦層を中心にブレークしていった。

 茂木は自社で直販する場合、顧客が満足できなければ、30日以内の返金保証を全製品に付けている。「返金して終わりでなく、次は汚れを落とせる製品をご提供したい」と言う。モノづくりへの、茂木の強い決意がそこにある。(敬称略)

茂木和哉(Kazuya Motegi) (アスター代表取締役社長)
1975年生まれ。96年に秋田県立農業短期大学を卒業し、化学工業薬品の販売会社に入社。自治体などへの営業に従事。2004年に洗剤メーカーに転じた後、05年に起業。07年に洗剤ベンチャーのアスターを設立。将来は地元農産品を原料にした洗剤を商品化し、農業にも貢献する夢をもつ。

  
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◆Wedge2015年7月号より


 

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