WEDGE REPORT

2015年7月31日

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某紙社会部記者A (ぼうししゃかいぶきしゃえー)

 新国立競技場の建設計画が7月17日、安倍晋三首相の一声で、ゼロベースの見直しが決まった。そこに至った経緯にアスリートたちの声があった。

元アスリートらが一方的に
計画を批判した事象に違和感

 元陸上選手の為末大さんは自身のブログで「建設されてしまったらスポーツ界が日本に負担をかけたと言われることが予想される」と書けば、五輪女子マラソンで2大会連続でメダルを獲得した有森裕子さんは涙ながらに「五輪が負の要素に思われることは、本望ではない」と訴えた。

解体された国立競技場(画像:iStock)

 今回の問題で元アスリートらが一方的に計画を批判した事象に、関係者は違和感を感じていた。

 新国立計画を進める日本スポーツ振興センター(JSC)の1人は「アスリートのために造っていた。こう言われては誰のために造っているのか分からなくなる」と嘆いた。もちろん東京五輪・パラリンピックのメーン会場だから、陸上競技場としての機能は必要。

 しかし、国内の陸上大会では8万人はおろか5万人の集客すら難しく、収益として計算できないのも事実だ。「五輪後は陸上機能を外し、収益が見込めるプロ野球やJリーグに貸し出すべきだ」と話す与党議員もいる。為末さんもブログで「スポーツイベントで8万人の競技場を満たすことなんてできない。(中略)スポーツは頑張って小さめの赤字」と認めている。

 スポーツでの回収は難しいとの前提があるからこそ、新国立計画は開閉式遮音装置を付け、コンサートなどの大型イベントも開催できるものを目指した。JSCは日本の自動車会社、総合電機メーカーなどの大手企業と何度も会議を開き、新国立を活用し、これまで見たことのない新しい展示会やプレゼンテーションを行う可能性も模索していた。

 大会組織委員会の森喜朗会長も「国立競技場を文化の聖地にしようという気持ちだった。安倍さんは日本の科学技術を発信する施設にしようと話していた」と語った。「スポーツ赤字」を穴埋めする、さまざまなアイデアを模索していたことは確かだった。

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