世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年8月11日

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 デンプシー統合参謀本部議長が7月1日に発表した「国家軍事戦略」について、米外交問題評議会の国防安保専門家、ジャニーン・デビッドソン上席研究員が、同評議会のブログの7月7日付記事でその5つの要点を紹介し、目新しい内容ではないが、ここ数年の戦略環境の変化を反映したものである、と指摘しています。

画像:iStock

 すなわち、デンプシー統合参謀本部議長は、新しい「国家軍事戦略」を発表した。この文書は、大統領の「国家安全保障戦略」、国防長官の「国防戦略」とともに、米国の最高位の国防戦略の三本柱をなしている。新戦略の5つの要点、次の通り。

 (1)米軍は、国家および非国家の脅威に対抗するため、前方展開を用いなければならない。「ハイブリッド」戦術は、侵略者に新たな強みを与えているが、これに対抗する最善の策は、抑止、それが破れた場合に迅速な対応を可能にする前方展開である。さらに、イスラム国のような「ハイブリッド」主体を打ち負かすには、米軍事力を幅広く配置し、グローバルに統合された指揮・統制プロセスを使い、地域を跨ぐ敵のネットワークを破壊する必要がある。

 (2)連合の形成、安保協力が重要である。各パートナーシップは、任務に対応して誂えなければならない。米国は友好国の連合を作り、その力を最大化しなければならない。それには、成熟した同盟国との安保協力推進、新興のパートナー国の能力構築が必要である。特に過激派組織に対する作戦では、米軍の役割は、地元の軍が自国を守れるようにすることである。

 (3)米軍は、伝統的な技術的優位にのみ頼ることは出来ない。現在の安保環境は、複雑さと急速な変化が特徴である。敵は、精密兵器やサイバー攻撃能力などの新たな技術で、米国の情報伝達・情報収集システムを標的にすることができる。その結果、将来の国家間紛争は、予測不可能で、制御が困難になろう。

 「ハイブリッド」行為者は情報利用、手作り爆弾、サイバー攻撃などにより、米国の強さの多くを迂回できる。将来の戦闘は、技術的アプローチだけでなく、賢い計画、強力で創造的な指揮を必要とする。

 (4)国家間の戦争の脅威は低いが高まりつつある。イラン、ロシアが近隣を不安定化させ、北朝鮮が米本土を脅かす能力を持ち、中国は南シナ海で埋め立てをしている。米国が同等に近い力を持つ敵との紛争に入る可能性は高まっている。しかしこれらのいずれの国も、米国およびその同盟国との直接的な軍事紛争を望んでいるとは考えられない。

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