Wedge REPORT

2015年8月25日

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ジョン太郎 (じょん・たろう)

現役金融マン

大手銀行入社後、日系・外資系の様々な金融機関で、商品開発や戦略企画などの要職に就く。投資信託や不動産ファンド、ヘッジファンド、機関投資家の自己資金運用など様々な分野で投資・運用ビジネスに携わり、株式・債券・為替・REIT・不動産・コモディティ・デリバティブ等、多種多様な金融商品に精通。2005年より、ブログ「ジョン太郎とヴィヴィ子のお金の話」を開設。投資・運用・金融・経済など、お金にまつわる様々なトピックをわかりやすく親しみやすい言葉で解説し、人気を博している。近著に「外資系金融マンがわが子に教えたい「お金」と「投資」の本当の話」。そのほか、マネックス証券の「マネックスラウンジ」にてコラム「お金の相談室」連載中。著書に「ど素人が読める決算書の本 第2版」「ど素人がはじめる投資信託の本」(いずれも翔泳社)がある。http://jovivi.seesaa.net/

 

 ハイイールド債やバンクローンはリスクに見合った利回りよりもずっと低い利回りで取引されている、つまり価格が押し上げられている、と。100ドルで償還されるものが105ドル、110ドルと、どんどん高い価格で買われていき、10%以上の利回りがあったものが9%、8%とどんどん利回りを下げていったからだ。ほんの少し前に借金を踏み倒したり、棒引きをしてもらった企業が、ハイイールド債を新たに発行した瞬間に低金利で大きな資金を調達できてしまうような事態をハイイールド債人気が作り出していたのだ。

起こるべくして起きた下落

 結論を言えば、私は個人的には今回の株価の大幅な調整や、他のリスク資産の価格下落は起こるべくして起こったことであり、必要なこと、だと考えている。先延ばしにすればするほど、さらに地面からの距離が遠くなり、更に大きな被害を招く。これまで資金流入によって価格がかさ上げされ、地面からの距離が遠くなった割高な市場、流動性の低い市場は注意が必要だろう。当面こうした状況が続き、更に価格を切り下げていく可能性がある。まずは地面からの距離を確認しておくとよいだろう。

 個別銘柄の推奨の意図はなく、あくまでも分かりやすい例えのためにトヨタ自動車の株価でお話しするなら(もともとトヨタ自動車の株価はさほどの割高感はなく、つまり地面からの距離が遠かったわけではなく、あくまでも代表的な企業として選んだ)、トヨタ自動車の株価は今年3月につけた8783円から7000円を割り込むところまで下げた。

 では、トヨタ自動車の株価の地面とはどこにあるのだろう。トヨタ自動車は1株当たり約700円の利益を稼ぐ力があり、 会社を解散して資産を処分して借金を返しても1株当たり約5700円が残る。ではトヨタ自動車の株価は1000円まで下がるだろうか。それは考えにくいだろう。トヨタ自動車の地面はおそらくもっと上にある。1000円で買ってすぐに会社を解散すれば5700円が返ってくるというのはあまりにも都合の良過ぎる話だ。

 また、1000円の買取資金を1年当たり700円の利益の2年分以内で回収できるというのも、都合が良過ぎる。こうした価格に下がる前にライバル企業や他の企業が買いたいと考えるだろう。5000円だって安いと考えるのが普通ではないだろうか。そのあたりが地面で、その近辺かその手前でトヨタ自動車の株価は下げ止まると考えるとよいだろう。これで、トヨタ自動車の株価は地面からあまり高いところまでかさ上げされていたわけではないことが確認できる。

 注意しなくてはならないのは、小さい市場に資金が流れ込んで価格がかさ上げされてきた市場であり、流動性が低く、買い手が少なく、他の人がとても買えないような割高な価格まで値段の上がってきたものだ。投資をしている方は一度お持ちのものをチェックしてみるとよいだろう。

  
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