WEDGE REPORT

2015年9月16日

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山陰旋網漁業協同組合 インタビュー
「クロマグロが減っている実感はない」

 クロマグロの日本海沖産卵期における巻き網操業の拠点・鳥取県境港のキーマンが取材に応じた。

取材に応じる白須組合長(右)と森脇副組合長(左) (写真:小平尚典)

─産卵期にクロマグロを漁獲する理由は。

山陰旋網(さんいんまきあみ)漁業協同組合:産卵場に集まってくる時期が巻き網で漁を行う私たちにとっては最も獲りやすい。地中海などでも産卵期に漁が行われている。

 また、産卵前のクロマグロがもっとも美味しいので、その時期を狙っている。産卵後は味が落ちるので獲らない。

 サケもタラもボラも産卵親魚を漁獲している。産卵親魚を獲ることが悪いという考えには違和感がある。

─産卵期の漁獲量上限を1800トンとする自主規制を行っているが、どのように各企業に割り振っているのか。

山陰旋網:今年の場合は、日本海各海区大中型まき網漁業資源管理計画に参加している船団の共有枠と、各海区のなかで船団別に割り振っている枠を併用した。船団別の枠は、融通しあうことはあるが、売買はしていない。

 自主規制している上限の量に達しなかったら、「クロマグロが減っている」と批判されるので、事前に決めた数量を漁獲できるよう工夫している。ちなみに自主規制1800トンには、内臓やエラも含まれている。

─そもそもクロマグロが減少しているという実感はあるか。

山陰旋網:あまりそういった感覚はない。昨年も今年も自主規制の上限に達したので漁獲を止めたが、規制がなければ、もっと獲れていた。

 昨年と今年の漁獲量や獲ったクロマグロのサイズをみると、11年からはじめた自主規制の効果が出始めてきているのでは、とも感じている。

 また、魚は毎年同じところに来ないが、資源量を調査する場所は毎年同じところだ。調査箇所をたまたま通らない可能性もある。

─仮に産卵期のクロマグロ漁が資源に悪影響を及ぼすので禁漁すべきという話になったら従うか。

山陰旋網:公的機関の結論ということであれば、検討せざるを得ない。ただ、私たちは境港の加工、流通業者に「もっと獲ってこい」、「なんで獲ってこんのだ」と叱られている。説明してもなかなか納得してくれない現状もある。

 水産庁は、日本全体で未成魚について半減すれば、高い確率で回復するということを言っているので、今行っている産卵期の巻き網操業に問題があるとは考えていない。

─禁漁は補助金があれば解決する話なのか。

山陰旋網:補助金だけでは解決しない。産卵期のクロマグロ漁が禁漁となれば、即刻倒産する境港の零細企業も出てくるだろう。補助金が関係者すべてに行き渡るわけがない。周辺産業まで含めると、100億円程度の経済評価額で、影響は観光業にまで及ぶ。

─世間に訴えておきたいことは。

山陰旋網:巻き網業者を悪者扱いしないでほしい。巻き網がないとアジ、イワシ、サバなどは、ほとんど消費者の口には入らないだろう。

 クロマグロは高級魚だが、巻き網で獲ることにより、手ごろな値段で食べることができる。この役割は大変なものだと自負している。

※取材対応者:白須邦夫代表理事組合長(共和水産社長)、森脇寛副組合長(若葉漁業社長)、米村健治専務理事、川本英文参事、相田仁顧問(共和水産元会長)、共和水産の橋津寛常務

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◆Wedge2015年9月号より

 

 

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