世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年9月17日

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 英オックスフォード大学中国センターアソシエイトのジョージ・マグナスが、8月21日付フィナンシャル・タイムズ紙で、中国は鄧小平以来の移行の危機を迎えている、と述べています。

画像:iStock Editorial

 すなわち、8月は中国にとって大変動の時期となった。株式市場と人民元の動向、天津の恐るべき爆発事故は全体として、経済、政治面での中国モデルがゆっくり終焉していることを象徴している。

 中国は鄧小平以来経験したことのないような移行の危機を迎えている。

 共産党の権威を再確立し、非現実的な成長率を維持する一方で、賛否両論のある諸改革、財政自由化、経済の重点の移動を行おうとしているが、複雑でお互いに相容れない。

 習近平は権力の集中に努めているが、改革を行うべき諸機関の権限を奪い、重要な改革の停滞を生んでいる。

 それゆえに8月の出来事が問題なのである。

 株式市場は資本の効率的配分の手段であるはずだが、政府は株価下落防止のため強引な介入を行い、しかも介入は効果を上げていない。

 人民元の引き下げは、元の動きをより市場に合わせるためと説明されたが、当局は経済の軸足移動のための元高政策と、成長の鈍化に見合う元安政策の間を揺れている。中国政府の中心課題は雇用政策である。4%という公式の失業率はでっち上げである。投資と労働集約的建設業の現状、年700万人に上る大卒の就職難などから、失業率はILOの推定の6.3%より高いのみならず、さらに上昇していると考えられる。

 本年の動きは、物事が計画通り進んでいないことを示唆している。権力の集中は改革にとって諸刃の刃であり、汚職撲滅運動はイニチアチブと成長を殺している。終わりなき景気刺激で非現実的な拡大路線を続けることは無理である。

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