海洋生物のサプライヤー
駿河湾の魅力を世界に発信

石垣幸二(沼津港深海水族館館長)


吉永みち子 (よしながみちこ)

1950年、埼玉県生まれ。85年、『気がつけば騎手の女房』で大宅壮一ノンフィクション大賞を受賞。著書に『母と娘の40年戦争』(集英社文庫)、『怖いもの知らずの女たち』(山と溪谷社)、『試練は女のダイヤモンド』(ウェッジ)などがある。

この熱き人々

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「深海」と「シーラカンス」がテーマの世界のどこにもない水族館をオープン、短期間で人気施設に育て上げた。
海洋生物のサプライヤーとしての経験と常識を打ち破る斬新なアイデアで未知なる世界の魅力を発信し続ける。

 目の前に駿河湾が広がる沼津港。飲食店や海産物の店が続く市場街に、回転寿司や海鮮丼や深海魚バーガーの店と並んで、目指す沼津港深海水族館があった。全貌が完全に把握できる二階建て。「え?これが水族館?」と思うほど小さい。が、平日なのにひっきりなしに人が吸い込まれていく。

 入口を入ると、即、展示スペース。水族館のポロシャツを着た館長の石垣幸二も、入口付近を見回せばすぐに見つかった。

 「とにかく展示を見てください。小さいですから。延べ床面積1,000平方メートル程度です」

 ちなみに東京都の葛西臨海水族園は14,772平方メートル、沖縄美(ちゅ)ら海(うみ)水族館は19,199平方メートル。財団や地方公共団体などが運営管理する水族館が多い中、ここは佐政(さまさ)水産という地元の水産会社が建て、石垣に管理を委託している。会社の土地に商業エリアをつくる際に、食だけでなく何か地元で自慢できるものをつくりたいという思いから、「海の手配師」の異名を取り水族館に魚の供給をしていた石垣と相談しながら開設したのだという。そんな沼津の小さな水族館が今年3月、2011年12月の開館から3年余りで来館者が100万人を突破した。まさに快挙といっていい。

 「まず最初は、浅い海と深い海を対比させた九組の水槽から。あ、ちょうど生き物実験室の始まる時間です。面白いからこれもぜひ見てほしいな」

 白衣を着た若い館員が、刺激を受けると粘液を出すヌタウナギの実験を始め、その周りを埋めた人たちから歓声があがる。すぐ近くのカーテンで仕切られた真っ暗なスペースには、蛍のような発光体が群れ飛んでいる。

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吉永みち子(よしながみちこ)

1950年、埼玉県生まれ。85年、『気がつけば騎手の女房』で大宅壮一ノンフィクション大賞を受賞。著書に『母と娘の40年戦争』(集英社文庫)、『怖いもの知らずの女たち』(山と溪谷社)、『試練は女のダイヤモンド』(ウェッジ)などがある。

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