WEDGE REPORT

2015年9月18日

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難民危機でシリア攻撃参戦

 こうしたISに対して、シリアへの軍事介入に慎重な姿勢を示していた英国、オーストラリアそしてトルコが空爆にすでに参加、フランスのオランド大統領も空爆参加の意向を表明し、空爆に先だって偵察飛行開始している。この4カ国が参入すれば、シリアの空爆参加国は9カ国、イラクでの参加国は7カ国となる。

 シリアへの空爆参加国が増えたのは、シリアからの難民が欧州に大量流入する「難民危機」が深刻化、難民の発生源を絶たなければ、危機が長期化するとの懸念が背景にあるからだ。欧州連合(EU)は14日、欧州に押し寄せる難民の受け入れ割当制をめぐって協議したが、ハンガリーなど東欧諸国が反対し、合意することができなかった。

 受け入れを前向きに表明してきたドイツもオーストリア国境で入国審査を開始し、事実上の規制に踏み切った。難民に対して厳しい方針を取るハンガリーはドイツへの経由ルートとなっているが、南部セルビアとの国境175キロに難民を食い止めるためのフェンスを完成させ、国境の外で多数の難民らが足止め状態になっている。

 しかし英仏などがシリア空爆に参戦してもシリアのISが壊滅する可能性はなく、シリアの内戦が終息に向かい難民の流出がとまる見通しも皆無だ。攻撃の中心である米軍はここにきて、アブバクル・バグダディらISの指導者ばかりではなく、中堅の幹部まで狙った新たな暗殺作戦を開始、メディア宣伝の担当者を殺害するなど攻撃を強化しているが、組織壊滅の期待はできない。

 ISはこうした動きに挑戦するかのように、ノルウエー人と中国人の2人の人質の写真をネットに掲載、彼らの命を救うための身代金を募集するという行動に出ている。米同時多発テロ9・11の14周年は何事もなく過ぎたが、ISのテロの呼び掛けに世界の懸念は高まるばかりだ。

  
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