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法を通してみたロシア国家――ロシアは法治国家なのか
渋谷謙次郎 著

目次 立ち読み

 

ロシアは、領土問題や資源外交などで国際的に注視されている。そうしたなか、ウクライナ政変とそれにつづくクリミアのロシア編入は世界の耳目を集めた。ロシアはリベラル国家なのか――。
本書は、ロシアの立憲制度と権力のあり方をソ連成立時にまで遡って歴史的にたどるとともに、トルストイやドストエフスキーなどのロシア文学を通して「社会と法」について考察する。また、プッシー・ライオット事件、同性愛宣伝禁止法など、最近の問題にもふれて、今後のロシア国家の行方をうらなう上で必読の1冊となっている。

 

<書籍データ>
◇四六判並製 336ページ
◇定価:本体1,600円+税
◇2015年10月1日発売
◇ISBN: 978-4-86310-152-4

<著者プロフィール>
渋谷謙次郎(しぶや・けんじろう)
神戸大学大学院法学研究科教授。1969年、神奈川県生れ。早稲田大学法部卒業後、モスクワ大学留学。1999年、東京大学大学院博士課程単位取得退学。東京大学社会科学研究所研究員を経て、神戸大学大学院法学研究科助教授。2009年より現職。主要研究テーマは、現代ロシア法の諸問題。著書に『欧州諸国の言語法』(三元社、2005)、『言語権の理論と実践』(共著、三元社、2007)、訳書にテリー・マーチン『アファーマティヴ・アクションの帝国』(共訳、明石書店、2011)等がある。
 

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<立ち読み>

 

本書は、法の専門知識があるとは限らない一般読者を想定しており、いわゆる基本六法のような各法領域に即した体系的な教科書のような体裁はとっていない。ただ、本書は「法を通してみたロシア国家」という視点を設定していることから、第二章以降では、政治学などでもよく問題になる「民主化」や「民主主義」一般もさることながら、現在日本でも問われている「立憲主義」という角度からロシアの歴史や現状を問わないわけには行かないだろう。その際、立憲主義という尺度からロシアの現状を一方的に断罪したり批判したりするだけでは、必ずしも内在的に理解したとは言えない。「法治国家」と同様、完全な「立憲主義国」というのも地球上には存在せず、また「民主主義」や「立憲主義」という価値を尺度にしてロシアが西側諸国から批判されることについて、当のロシアは多くの欺瞞を感じているに違いないことを考慮する必要がある。
立憲主義との関連では、章を改めて、ロシアの立憲制度の根幹ともいえる大統領制の特徴について、ロシアの国家体制との関連で、米国との比較などを織り交ぜつつ、解説・紹介を兼ねて検討する。続いて、クリミア編入問題について、二〇一四年二月のウクライナ政変との関わりで論じるが、その際、時事的論評のみならず、日本ではあまり知られていないクリミアの歴史についても紐解く中で、クリミアの法的地位やクリミア・タタール人の処遇についてのソヴィエト法の実態について触れ、それが現在のクリミア問題の、いかなる背景をなしているかについて検討する。
第五章は、本書の中ではやや番外編的な内容かもしれないが、ロシア法を理解するうえでは、有機的に関連していると筆者は考えている。とりわけ日本でも絶大な人気を誇ってきた十九世紀のロシア文学、とりわけドストエフスキーもトルストイも並々ならぬ法的感性を有していたことを示すことができれば幸いである。
第六章は、まとめを兼ねて、近時のロシアの状況を法的視点から論じたものであり、今後のロシア国家の行方を占う上でも、参考となれば幸いである。


 



<目次>

序 章 ロシアは法治国家なのか
第1章 権利・利権・権力――ロシア国家と法をみる視点
第2章 立憲主義からみたロシアの歴史
第3章 ロシアの立憲制度と大統領権力
第4章 ウクライナ政変とクリミア問題
第5章 ロシア文学と法
第6章 外向きと内向き――非リベラル国家への転回?

 

 

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