世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年10月15日

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 9月8日付の米ワシントン・ポスト紙は、ロシアがアサド政権に対する軍事的支援を強化する動きを示していることに警戒感を表す社説を掲げています。

画像:iStock Editorial

 すなわち、去る7月にプーチン大統領と電話で話した後、オバマ大統領は「ロシアはアサドがその掌握している領域を失いつつあることを認識しており、このことはロシアと真剣な話をする機会を提供するものだ」と自信あり気に述べた。オバマがシリア内戦の外交的解決にプーチンを引き入れ得ると思ったことはこれが初めてではないし、プーチンの意図を読み間違えたことも初めてではない。アサド政権を見限るどころか、ロシアは賭けを2倍に引き上げる挙に出つつある。ロシアは地中海沿岸のアサドの重要拠点の近くの空港に基地を作りつつあり、近隣の諸国に軍用機の上空通過の許可を求めている。ロシアはアサド軍の支援のための航空作戦のため1000人以上の兵員を展開する準備をしているらしい。

 9月5日、ケリー国務長官はラブロフ外相に電話し、ロシアの行動は紛争をエスカレートし、ISと戦う米国主導の有志連合との衝突のリスクがあることを警告した。プーチンの戦略は一貫している。それは、アサドを政権から追放することを阻止し、アサド政権をISとの戦いのパートナーとして遇するということにある。プーチンは、議会選挙と「健全な」反体制派との連立政権を含む彼の政権移行計画は、アサドの完全な支持を得ているといっている。

 ロシアの地上軍および空軍兵力をシリアに展開する準備をしていることは、プーチンが、オバマが受け入れることを拒んできた真実を認めているからに他ならない。それは、シリアの政治的アジェンダは力によって裏打ちされない限り意味をなさないということである。軍事力のバランスが反体制派の勝利を不可避で切迫したものとしない限り、アサドは退かない。もし、米国が反体制派に控え目な支持でも与えていたならば、ロシアはリスクを冒して兵員と航空機を派遣しようとはしなかったであろう。プーチンは米国の弱さの故に軍事バランスをアサドに有利な方向に戻す機会を得たと信じているであろう。オバマが米国の意図を貫きたいのであれば、電話をすること以上のことが必要である、と述べています。

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