2024年4月19日(金)

ドローン・ジャーナリズム

2015年10月7日

 富士登山を無事終えた自分が、次にこの目で確認しておきたかったのが大沢崩れだ。大沢崩れとは、富士山の山体の真西面側にある大沢川の大規模な侵食谷のこと。富士山の3776m、最高地点には旧レーダードームの建物が建っているが、ちょうどその下の斜面から大沢崩れは始まっている。最大幅は500m。深さは150mにも及び、頂上火口直下から標高2,200m付近まで達する大規模な侵食だ。大沢崩れの崩壊は現在も続いていて、毎日大型ダンプカー28杯分の土砂が崩れているという。富士山のあの美しい山体が壊れていくのは悲しいことであると同時に、実害として麓の土砂災害が懸念されることから継続して砂防工事が行なわれている。

 大沢崩れへは、富士山の5合目あたり、ちょうど標高2300mにある「お中道」で行くことができる。「お中道」とは、富士山の中腹を水平に一周している道のこと。かつては富士山頂に3回以上登った者だけが許された富士山信仰における修行道だった。当時は一周できたが、現在はこの大沢崩れを始め、幾つかの通行止め箇所があり、残念ながら一周することはできない。今はスバルライン5合目から奥庭を経由して大沢崩れまで行けるトレッキングコースが残っているのみである。

 自分は五合目の手前にある「奥庭駐車場」から大沢崩れに向かった。お中道に入る直前に、大沢崩れの砂防工事基地がある。ヘリコプターが頻繁に往復しコンクリートなどを運んでおり、プロペラの風圧で砂埃が巻き上がっていた。飛んでいるヘリコプターをこんなに間近で感じたのは初めてだ。

 お中道に入るとまずは森林地帯。鬱蒼と茂る森はひんやりとした空気に包まれていた。

仏石流れ
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 お中道を進んでいくためには、いくつかの沢を渡る必要がある。中には険しい道もあり、足を踏み外したら確実にやばいところがちらほらあり、修行道とされてきたのにも納得である。写真は一つ目の沢、仏石流れである。砂場の大きな沢だ。高山植物がほんのりと紅葉で色づき始めており、見上げると雲の隙間から富士山頂を望むことができた。

 下の写真は一番沢。この先、幾つかの沢を越え、お中道は続く。


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